教員紹介
いしはら わたる

石原 亘

講師
専門分野 木材利用、木材加工技術
最終学歴 北海道大学大学院農学院博士後期課程
博士(農学)
研究テーマ ・用途および樹種に応じた木材乾燥
・地域の特徴を活かした木質材料の開発
・未利用材の家具材への利用の推進
・建築物への木材利用の推進
・本邦における木材利用の歴史、人との関わり(今後やってみたい)

経歴

愛知県名古屋市生まれ。

いろいろと縁(というか運)があって、
北海道大学農学部森林科学科に3年次編入学。
(現在、北海道大学農学部でこの制度は廃止されてしまったが…)
豊かな自然に囲まれた札幌の街が好きになる。
周囲のアクティブな学生らに刺激を受けて、
森に行ったり、山に行ったり、木で何かを作ったり、お酒を飲んだり。
ふと気が付いたら、“木材”に愛着が湧いていた。
(あれ?勉強は…)

リーマンショック後の不景気の中、今は雌伏の時と考えて就職活動も何もしなかった。
ただ、すぐに金策に行き詰まり、大学院を中退、縁(というか運)があって木材商社(物林株式会社、北海道支店(札幌市))に就職。
企業勤務時には、木材製品(建築構造材・内外装材)の販売以外に、木材建築の設計・施工に関する補助作業を経験した。また、系列の集成材工場(協同組合オホーツクウッドピア(北見市))に1年半ほど籍を置いて(出向)、木材製品の生産過程について肌を通じて学んだ。
この頃、国が主導する(法整備を含めた)木造建築の推進により、仕事量は急増。
大変だったけれど、顧みれば貴重な経験だった。

社会に出てから5年後、またもや縁(というか運)があって、転職。
北海道立総合研究機構(道総研)林産試験場に勤務することに。
「研究」をまともにやった経験がなかったので、不安な再出港だったが、
周囲の職員のサポートもあり、ようやく“木材”の学理について少しだけ理解できた気がする。

試験場に転職して5年ほど経った頃、学位取得のために母校に社会人入学。
世代の異なる学生さんとコミュニケーションを取り、いろいろな刺激を受けた。
北海道の地に骨を埋めるつもりでいたけれど、
“木材”を異なる視点(教育)、異なる土地(岐阜)から捉えてみたいと思った。

令和6年4月に8年間勤務した道総研林産試験場を退職し、同年5月より森林文化アカデミーにて勤務。
何事も、ご縁(と運)の大切さを実感する日々。

専門分野への思い

私の専門分野は、ひとことで表現すると『木材学』ということになるかと思います。
“木材”は性質・用途が多岐に渡っており、この多様性が木材の最大の魅力です(工学的な視点からは、このことが“使いづらさ”に繋がっているとも言えますが)。
研究はもとより、実務の世界であっても、木材との付き合いの中ではセオリー通りにいかないことが多々あります。これを克服するツールは、肌を通じた経験(見ること,触れること,実験すること)しかないと思っています。

木材乾燥研究の泰斗である松本文三先生は,著書の中で「木材乾燥に学理が必要であることは言うまでもないが,木材は樹種や産地によって各種の性質が一定していないから,学理の応用と共により多くの経験を必要とする」と述べています。この言葉は木材乾燥においてはもちろん,木材に関わる科学(すなわち、『木材学』)の全般にも適合します。

研究にしても、教育にしても、経験から得られるインスピレーションを大切にしていきたいと思っています。

 

論文

(主著論文)

石原亘,澤田圭,小泉章夫,平井卓郎,佐々木義久,高梨隆也,夏目俊二,伊藤洋一:檜山研究林内におけるステーク試験による道産材5種の耐朽性評価,北海道大学演習林研究報告69巻1号,pp.11-21(2013).

石原亘,宮﨑淳子,大橋義徳,中村神衣,高梨隆也:低湿度環境下での内装現し仕上げを想定したカラマツ・トドマツCLTの製造条件の検討,木材工業75巻1号,pp.10-15(2020).

石原亘,高梨隆也,大橋義徳, 松本和茂,戸田正彦,植松武是:カラマツ及びトドマツCLTの面外せん断強度(第1報)荷重方式及びスパン条件がせん断強度に与える影響,木材学会誌66巻4号,pp.214-224(2021).

石原亘,高梨隆也,大橋義徳, 宮崎淳子,中島昌一, 宮武敦,新藤健太:ねじり試験およびブロックせん断試験によるCLTの接着強度の評価,木材学会誌67巻2号,pp.100-108(2022).

石原亘,川合慶拓,高梨隆也, 宮﨑淳子,大橋義徳:圧縮型せん断試験における国産針葉樹CLTのローリングシアー強度-樹種および含水率による影響,木材学会誌68巻1号,pp.36-42(2022).

石原亘,宮﨑淳子,大橋義徳:低湿度環境に暴露したカラマツおよびトドマツCLTの接着性能,木材工業77巻1号,pp.14-20(2022).

石原亘,宮﨑淳子,高梨隆也, 大橋義徳,土橋英亮,兵野篤:カラマツ及びトドマツCLTの面外せん断強度(第2報)促進劣化処理がせん断強度及び接着性能に与える影響,木材学会誌68巻2号,pp.77-87(2022).

石原亘,土橋英亮,高梨隆也,川合慶拓,大橋義徳,藤原拓哉:乾燥条件がカラマツの性状に及ぼす影響(第1報)乾燥温度と曲げ強度の関係,木材工業77巻9号,pp.345-349(2022).

石原亘,高梨隆也,川合慶拓, 大橋義徳,佐々木貴信, 澤田圭:低湿度環境で暴露したカラマツおよびトドマツCLTのせん断強度,木材学会誌68巻4号,pp.154-164(2022).

石原亘,土橋英亮,高梨隆也,川合慶拓,大橋義徳,吉田孝久,松元浩,長尾博文:乾燥条件がカラマツの性状に及ぼす影響(第2報)乾燥条件が心持ち正角材の表面割れと曲げ強度に与える影響,木材工業78巻3号,pp.98-103(2023).

石原亘:直交集成板(CLT)におけるラミナのローリングシアー強度および面外せん断強度(総説),木材工業78巻6号,pp.210-217(2023).

石原亘,土橋英亮,高梨隆也,大橋義徳,吉田孝久,松元浩,長尾博文,藤本登留:乾燥条件がカラマツの性状に及ぼす影響(第3報)高温セット条件が心持ち正角材の表面割れと強度に与える影響,木材工業78巻8号,pp.298-304(2023).

石原亘,土橋英亮,高梨隆也,大橋義徳:北海道産造林種における乾燥温度が材料強度に及ぼす影響(第1報)乾燥温度が曲げ強度に及ぼす影響,木材工業79巻2号,pp.56-61(2024).

(共著論文)

Ryuya Takanashi, Wataru Ishihara, Kei Sawata, Yuzou Sano, Tomonori Azuma, Mitsunori Mori, Akio Koizumi, Yoshihisa Sasaki, Takuro Hirai:Fractography of shear failure surface of softwood decayed by brown-rot fungus, Journal of Wood Science 60,pp.189-193(2014).

Ryuya Takanashi, Yoshinori Ohashi, Wataru Ishihara, Kazushige Matsumoto:Long-term bending properties of cross-laminated timber made from Japanese larch under constant environment, Journal of Wood Science 67,Article number:65(2021).

槌本敬大,加藤英雄,荒武志朗,松元明弘,高梨隆也,大橋義徳,石原亘:大径丸太材由来の構造用製材の長期荷重に対する特性,木材工業76巻11号,pp.493-498(2021).

高梨隆也,山田美歩,松本和茂,渡辺誠二,大橋義徳,石原亘,植松武是:カラマツ成熟材部から採材したラミナの特性と製品の強度等級別製造シミュレーション,木材学会誌68巻2号pp.88-96(2022).

川合慶拓,石原亘,高梨隆也,大橋義徳,澤田圭,佐々木貴信:カラマツラミナの幅厚さ比とローリングシアー強度の関係,木材学会誌69巻3号,pp.134-139(2023).

Yasuhiro Kawaai, Ryuya Takanashi, Wataru Ishihara, Yoshinori Ohashi, Kei Sawata, Takanobu Sasaki:Out-of-plane shear strength of cross-laminated timber made of Japanese Larch (Larix kaempferi) with various layups and spans, Journal of Wood Science 69,Article number:33(2023).

 

資格

(国家資格)

技術士(森林部門(林産))、一級建築士、学芸員、測量士補、国内旅行業務取扱管理者

(民間資格)

インテリアプランナー、木材接着士、木材乾燥士、構造用集成材管理士、木材劣化診断士

(その他)

草月流いけ花4級師範、ビール検定2級ほか

 

趣味

絵を描くのが好きなのですが、アカデミーには松井先生という巨匠がいるので、内緒にしておこうと思っています。それと、めっきり量は飲まなくなったけど、お酒が好き(ウイスキー、ビール、日本酒など)。定年後は、落ち着いて語らえる社交場(バー)の経営をしたいと企んでいます。これも内緒のおはなし。