6 地域材活用
地域材を使うということ
日本国内では過去50年、森林面積にあまり変わりはないですが主に針葉樹の人工林で木が育ち、森林備蓄量(森林を構成する樹木の幹の体積)は増え続けています。つまり使うべき森林資源が充実してきているということになります。ですが安価な外国産材が増えて行き、国内の木が使われなくなり、現状では回復傾向にあるとはいえ、国内の木材自給率は約4割(令和3年度)に留まっています。
地域材活用は、生産過程を地元で行うので地域経済を潤すことになります。たくさんの化石燃料を必要とする海外からの輸送に比べ、環境への負荷も少なくなります。国産材、地域材を積極的に伐採し使っていくことは、植えて育て、また伐採するというサイクルを作り出し、山へ利益を還元していくことに繋がります。
アカデミーでの取り組み
森林文化アカデミー木工専攻でもスギ・ヒノキを使った椅子製作など、一般的には建築用材として使われる針葉樹の木工分野での活用や、広葉樹においてもこれまではチップやパルプになっていたような小径広葉樹の活用にも授業の一環で取り組んでいます。
1年後期の「テーブル製作」では学内の講義室の机を小径木から製作しており、2023年には学内で支障木となってしまったカツラを簡易製材機で製材し、ビニールハウス乾燥庫に入れ秋の授業で使いました。
ウッドマイルズという木材(ウッド)の輸送距離(マイルズ)に関する環境指標があるのですが、(詳しくはmorinosを建築した際の木造建築辻先生のブログをごらんください)学内ですべて完結するこの取り組みはウッドマイルズは1km未満で、他ではなかなか真似できないものになるのではと思います。
ここまでではないにせよ、2年前期の「家具の製作」でも岐阜県飛騨市の小径広葉樹を使い、学内の家具を製作しており、針葉樹に比べ流通経路もあまり整っていない広葉樹を有効活用する方法を模索し、発信しています。
他にもグリーンウッドワークももちろん身近な材に新たな価値を生み出す手段として、注目が集まっていますし、地域材でのおもちゃ製作も地域の森や木に関心をもってもらうきっかけになります。
岐阜県内の各地、全国でも様々なな木工分野で地域の材が使われる取り組みが進められており、アカデミー木工専攻では「木工事例調査」などでその現状を知り、上記の授業で実際に活用するノウハウを学ぶことができます。