木工専攻
卒業生の進路

南 成年

移住を目的に早期退職してアカデミーへ 社会人経験を生かし、木育キャラバンのディレクターとして活躍

南成年さん

プロフィール

岡山県倉敷市在住、フリーランス。

森林文化アカデミー木工専攻 16期卒。東京でのレコード会社勤務を経て、2016年森林文化アカデミー入学。在学中から東京おもちや美術館が全国に展開するウッドスタート事業に携わる。現在は、移動型おもちや美術館「木育キャラバン」のキャラバンディレクターとして全国を巡っている。その傍ら、倉敷市で細々とCAFEを営む。1966年生、大阪府出身。

東京おもちや美術館 東京都新宿区四谷4-20-1
MATERIAL LIBRARY CAFE 岡山県倉敷市玉島中央町3-2-10


質問1)アカデミーに入学を決めたきっかけは何ですか?

移住が目的でした(笑)。

と言っては身もふたもないですね。森林文化アカデミーを知ったのは、東京での暮らしが長くなり地域移住を検討していた時で。アカデミーの先生がゲストとして登壇された移住相談センターのセミナー(岐阜県の伝統工芸を生業にしてみませんか?のようなお題)に参加したのが入学を考えた最初です。先ずは学生として地域で暮らすことをしてみようと。その後、半年ほどで学生になっていました。

質問2)アカデミーの学生生活で印象に残ったことは?

自然の中で、樹に触れ、木と向き合い、森と共に暮らすという生活は日々驚きと気付きの連続でした。それはもう新鮮な学生生活でした。

卒業後岐阜に移住し木工を生業にする道は選びませんでしたが、「木工」という技術を学べた事は人生の糧ですし、これからも大いに役立ってくれると思います。また木材の良さを科学的見地から見直そうという研究がされていることを知りました。「木の良さ」は誰でも知っているけれど、人は木に触れることでどんな効果があるのか、その科学的根拠はあるのか、これから学んでいきたいと思っています。

しかし一番印象深いのは、この歳になって得た同級生、同期、仲間です。彼らとの出逢いなくしてアカデミーの学生生活はあり得ませんでした。

質問3)今の仕事のやりがいは何ですか?また、今の仕事を選んだ理由をお聞かせいただけますか?

今の主な仕事は、「木育キャラバン」といってトラック満載の木のおもちゃを持って全国各地を回るイベントの運営です。おもちゃ遊びから木育を体感してもらう、子どもたちに向けたイベントです。主催は地方自治体であることが多いです。

木と触れ合う子どもたちの笑顔が生きがい…なんていうのが普通なのかもしれませんが、私は少し違います。来場される保護者や関係者などキャラバンを取り巻く大人たちが、木育キャラバンと関わって子どもたちと共に遊ぶことでみるみる元気になっていく様を見るのが楽しいのです。ある自治体職員の方に「市民のみなさんに、こんなにありがとう!と言ってもらえる仕事は今までなかった」とのお言葉をいただきました。思わず小さくガッツポーズしてしまいました。

森と人を繋ぐなんて大それたことは言いません。ただ繋がるきっかけ、山を見上げてみる心のゆとり、ささやかな木との関係の気付きになれればと思って、今の仕事と暮しの両立を決めました。

ウッドスタート事業の仕事で「誕生祝いの木のおもちゃ」の検品風景。写真の積み木は、愛媛県西予市産のヒノキで作ったおもちゃ。西予市の子どもたちに贈ります。コンセプトやデザインはアカデミー生が考えたものです。

 

質問4)アカデミーの学びで役に立ったことは何ですか?

卒業後、他県で仕事をする時に実感するのではないでしょうか。

岐阜県は林業や林産系産業が体系的で組織化されている珍しい地域だと思います。他県では斜陽も斜陽、厳しい業界であるとの認識が占めています。

仕事柄多くの自治体と渡り合う私にとって、そんな岐阜県が作ったアカデミーで得られた知識や多く経験、沢山の人との縁が、今の仕事の大きな力になっています。

アカデミーでの学びは卒業後にきっと役に立ちます、先ずは貪欲に何事も吸収していくことが大事だと思います。

質問5)今の仕事で意識していることは何ですか?

本年4月から森林環境税が導入されました。何か新たな展開ができるタイミングではないかと思います。

日本には1700以上の市区町村があります。私は1700の中のほんの少し、年間で20箇所程度の地域に赴きます。行き先は木育に関心を持つ地方自治体が多いです。しかし人材不足で木育で地域を元気にするいいアイデアがなかなか出ない。森林との関わり方に今までと違った考えができる人、川上でも川下でも。両方なら尚更いい。地域を盛り上げてくれるアドバイザーを求めています。どなたかいませんか、新しい土地で木や森に関する仕事をしたい方、マッチングしてみたいですね。