松川 久美子
ナイフで遊ぶ、心を育む
プロフィール
1981年生まれ 宮城県仙台市出身。
仙台市の認可保育園にて19年間保育士として勤めたのち、岐阜県立森林文化アカデミー木工専攻へ入学。
道具の使い方やものづくりについて学んだ後、復職し保育教諭として勤務の傍ら、アカデミーで行った課題研究『子どものためのナイフワーク』の活動を『ナイフであそぼう』として継続している。
活動団体名 ”森のてしごとや みのむし” Instagram:morinotesigotoya_minomushi
質問1)今の仕事内容を教えてください。
アカデミー入学前に勤めていた認定こども園で保育教諭をしています。
加えて、アカデミーで行った課題研究「こどものためのナイフワーク」の活動を継続し、現在も幼児・小学生から大人対象のワークショップをおこなっています。さらに、毎年岐阜県にて”子どものためのナイフワーク講習会”を開催し、『子どもとナイフを使った活動がしたい』人の輪を広げる活動を行っています。
質問2)今の仕事で大変だなと思うことと、やりがいを感じることを教えてください。
「ナイフを子どもの遊び環境のひとつに」と思っていますが、なかなか園の日常に落とし込むまでには至っていない現状があります。周囲の理解という点では恵まれているので、周囲を巻き込みながら自分でどんどん環境を整えていきたいと思います。やりがいは何と言っても、”ナイフで木を削ることに熱中している子ども”と”そんな子どもの姿を喜びつつ自分の方が夢中になって削っている大人”を見ることです。
質問3)今の仕事を通して社会にどんな貢献をしていると感じますか?
乳幼児期の経験が生きる力の根っこになると感じています。自分で感じ、試行錯誤する経験が思う存分できる場所はなにより自然の中。アカデミーで学んだありとあらゆることをフル動員させ、子どもの育ちを支えていきたいと思っています。
質問4)アカデミーに入学を決めたきっかけは何ですか?
保育士として長年子ども達と関わる中で、”子どもにはなにかを教え込む必要がないこと”、”子どもはあそびや生活の実体験から自ら育っていく力を持っている”ことを感じてきました。そのような中で、”自分は子どもにとってなにができるのか”と考えるようになり、森林について広く学び、さらに自分が道具の使い方を正しく知ることで、子どもの暮らしを豊かにすることができるのではないかと考え、森林文化アカデミー木工専攻への入学を決めました。
質問5)アカデミーの学びで役に立ったことは何ですか?
とてもひとことでは言い表せないですが…”ものを作り出す喜びを知った”ことでしょうか。手道具・木工機械の使い方を基礎から習得し、様々な木の特徴を知り、長く使い続けるための知恵を学びました。商品化のお弁当箱作りでは、形になるまでずいぶん苦しみましたが、自分の力を総動員させひとつの形としてお客様のもとに届けられたことが深い学びとなり、大きな自信として自分の中に残っています。
”ものを作り出す喜び”を味わってもらいたいこともナイフワークの目的のひとつになっています。
質問6)専門分野以外の授業やプロジェクトで、役に立ったものはありますか?
森林環境教育分野にも興味があったので、隙を見つけては授業や実際のイベントに参加させてもらってました。またコミュニティビジネスについても学び、論理と実践をつなぎ合わせて考えることができました。現在のワークショップを組み立てる上で活きていると感じています。
質問7)アカデミーの学生生活で印象に残ったことは?
同級生の影響で今までなんとなく苦手だと思っていた虫の魅力に目覚め、鳥、きのこ、石‥と興味はどんどん広がっていきました。現在子どもと過ごす中で、この興味が子どもとの距離を縮めてくれているように感じています。たくさんの出会いとともに岐阜の豊かな自然の中に身を置けたことは私の人生で最高に幸せな出来事です!
質問8)アカデミー入学前の仕事が、今に活きていると感じることはありますか?
子どもの発達の特徴を知っていることで、ナイフワークのイベントで初めて接するお子さんに対して様々なアプローチができるのは自分の強みかなと感じています。
質問9)今の仕事をしていく上でのモットー、若い人へのメッセージは?
やりたい時が踏み出す時。自分でも驚くようなエネルギーが湧いてきます。