3 木育
もの作りの技術と木が持つ強みを活かして、人と社会にアプローチする
アカデミーでは木工技術の習得だけでは無く、様々な木育講座の企画や運営方法について学びます。学生達はそれぞれの関心分野やフィールド、対象に合わせたワークショップを企画して、木の持つ多様な側面を活かした体験ワークショップを実践します。その活動分野は教育、福祉、地域づくり、SDGs教育などなど、多岐にわたります。
もの作りの体験や木に触れる場作りを通して、参加者どうしが仲良くなったり、森について詳しくなったり、身近な暮らしについてより深く考えるようになったり・・木が持つ素材の特性を活かしながら、地域や社会を「良くしていく」活動や手法を、私達は「木育」と呼んでいます。アカデミーの木工専攻では、1人の作り手であると同時に、木育のスキルを活かして地域や社会で多様な活躍ができる実践者の育成を目指しています。
木が持つ多面性を活かしたアウトプットの仕方を学ぶ
木には山で生きている姿もあれば、暮らしの中で住宅や道具として使われている素材の姿もあります。また、木の種類によって異なる色やや匂い、重さなど、多様性も持ち合わせています。工作材料としての木材、循環可能な資源としての木、他にも木には様々な側面があり、木育では、そのような木の持つ多様性を用いて活動を行います。、、木が持つ様々な側面を使ってアウトプットを行います。
学生達はまず講座運営の現場にスタッフとして参加して、実際に木に触れたり森に入る体験をしながら、講座の進め方や伝え方について学びます。その中で、講座を企画するときに大切な「ねらい」の設定の仕方や「体験」の組立て方、「企画書」の書き方について学んでいきます。
多様な課題にアプローチする手法を学ぶ
学生達は日々の実習の中で、道具の使い方や木の特性、森の樹の成り立ちなど多くのことを学びます。この学びの中で得た知識や技術を活かして、学生達は社会に対してどのようにアウトプットができるのかを考えていきます。
木育を通して何を育むのかは、学生の向き合う課題や得意分野、活動をしていくフィールドによって異なります。ここで扱うのは伝統的な木工技術のみでは無く、野外でのナイフワークやデジタルファブリケーションといった新しい木工技術まで、幅広いスキルが活かされます。
ぎふ木育の伝え手として実践する
岐阜県では独自に「ぎふ木育」を推進するために、県内100ヵ所のぎふ木育広場が設置されており「ぎふ木遊館」や「morinos(森林総合教育センター)」といった大型木育施設があります。さらにアカデミーでは、木育を実践する地域の保育園や学校、企業などとも連携しており、これらの場所をフィールドに学生達は実験的な木育講座を企画・実施することが可能です。木工専攻で履修する「木育講座の基礎」「木育総合演習」を履修することで、岐阜県より「ぎふ木育指導員」の認定を得ることができます。卒業生の中には、これらの施設で木育講座を行っている人もいます。
卒業後の活動へ
木や木製品が持つ価値や文化を広く正しく伝えていくことも木育の1つです。
今ある技術や道具も、価値を正しく評価する人がいなくなれば廃れてしまいます。
これからの社会では寡黙な作り手でいることは難しく、自ら情報を発信して、ものの価値を正しく伝える「普及」の役割も作り手が担っていく必要があります。その時に、樹と木をつなげて話ができるスキルや地域の文化と森林のつながりを語れることは、将来社会に出てからも大きな強みになります。