木造建築専攻
卒業生の進路
卒業生インタビュー

森本 豊茂 -地震にも強い快適な街づくり-

プロフィール

森と木のクリエーター科 18期生

電力会社に勤務後、
2018年に森林文化アカデミー木造建築専攻に入学、
2020年の卒業後、工務店を経て、
現在、名古屋市役所 勤務

質問1)どんな仕事をしていますか?

現在、名古屋市役所で空き家対策の仕事をしています。

アカデミーでの研究活動の一つとして「住宅性能の見える化による耐震化促進」を行いました。
それは、居住している木造住宅やこれから新築する木造住宅の住まい手などに対して耐震化を促す取り組みでしたが、現在の仕事は居住(利活用)していない住宅、つまり「空き家」について、その所有者に管理をお願いしたり、撤去などを促したりして、地震にも強い快適な街を維持・形成していこうという取り組みを建築の技術職として行っています。

 

質問2)アカデミーに入ったきっかけは?

幼い頃に自宅の改修を行う大工さん仕事を間近に見て建築が好きになりました。
しかし、就職は地元の電力会社の事務職を選択し、30数年もの間、総務・広報・人事などの仕事に携わっていました。でも、「建築」の仕事に携わるという「夢」をあきらめきれず、早期退職してアカデミーの門を叩きました。

アカデミーでは同学年の最年長学生として、自分の子供と同世代やさらに若い同級生達に助けられて、無事に履修を終えることができました。
特に入学直後から始まる「自力建設」では、設計の仕方、図面の書き方、施工段取りの組み方、のこぎりやのみの使い方など、毎日が初めてのことばかりで、新鮮で楽しく取り組むことができました。

また、課題研究として「木造建築物の構造性能評価ツール(ウォールスタット)」を用いて、「耐震性能の見える化」のための数多くの検討を行いました。
そのひとつとして大地震に罹災後、木造建築物の建築確認申請制度の難度が高くなり苦労をされている韓国の木造建築関係者に対して、構造性能評価の重要性の理解を深めていただくために、韓国へ出向き、韓国木造建築協会の会長をはじめ数多くの会員の方々に対してプレゼンテーションを行ったことも印象深い取り組みでした。(帰国後に、会長名の表彰状を使者の方がアカデミーに届けに来られたことも驚きでした。)

 

質問3)今に生きているアカデミーの学びは?

学んだ全てのことが現在の仕事に活かされていますが、特に「現物主義」。実務では様々な情報の中、不確実な情報や主観的に構成された情報が多いのも事実です。
また、勝手に思い込み、仕事を進めてしまい失敗することもあります。可能な限り現地へ出向き、現物を自分の目で確認することに努力しています。

また、縁あって卒業後もアカデミーで開催されている「木造建築物の構造性能評価ツール演習」に講師(演習補助)として参加しています。
休日開催のセミナーですが、時には恩師の方々や現役学生に出会うことも多く、「初心を忘れないよう」私の建築人生のスタート地点であるアカデミーでの数々の学びを振り返る機会としています。

本学の専門技術者研修の講師を務める

(2024年インタビュー)