北野 輝帆子 -森を健全にしていく家づくり-
木の良さを感じてもらい、伝え、実践する
プロフィール
森林文化アカデミー 木造建築専攻10期生
質問1)アカデミーに入学を決めたきっかけは何ですか?
生まれ育った地元が緑に恵まれた環境にあり、以前からこの緑を守る仕事に就きたいとの思いがありました。前職でも、異業種であるものの、貢献できていることは同じでしたが、ただ建築への興味が日を追うごとに膨らんでいき葛藤がありました。そんなときに、三澤文子元教授の書籍でアカデミーの存在を知りました。それまでは自然はただ保護すればよいと思っていたのですが、むしろ建築などで森林を活用していくことで、森を健全にしていくことができると知り、はっとさせられました。そのことについて、もっと詳しく学びたいと思ったのがアカデミーに入学したきっかけです。
質問2)アカデミーの学生生活で印象に残ったことは?
たった2年間ですが、その2年間で学ぶには吸収しきれないくらいのことを学びました。木造建築はもちろんのこと、森林に関わる他の分野を学ぶことができたことも、印象に残っています。そのボリュームを補ってくれたのが、実地的な授業がほとんどであったことだと思います。実際に体験したことは、あとからも思い出しやすいです。また、2年生からの課題研究も印象的でした。テーマについて掘っても掘っても底なし沼のように広がって行き、自らが学びたいと思えば、どれだけでも学べる深い懐がある学校だなと思いました。
質問3)今の仕事のやりがいは何ですか?また、今の仕事を選んだ理由をお聞かせいただけますか?
私は卒業してから、意匠設計の仕事に就いています。木の良さを感じてもらい、伝えることができ、実践的に使用していける立場であると思い、今の仕事を選びました。また、卒業研究のテーマとも繋がるのですが、特にこどもにそれを実感してもらいたいと思っています。
まだまだ未熟なのですが、心地よいと感じる空間をイメージ、設計し、それを施主と共有できたとき、やっててよかったなぁと感じます。特に、こどもたちが嬉しそうに走り回ったり、ゴロゴロ転がったりしてくれたりする様子をみるとたまらなく嬉しいです。
質問4)アカデミーの学びで役に立ったことは何ですか?
まずは、実践力だと思います。教わったこともたくさんありますが、自分たちで手探りで進めていく授業もたくさんあります。何が分からないのかも分からないなんてこともある中で、どうしていったらよいか。そんなことを一番教えて頂いたように思います。
質問5)今の仕事で意識していることは何ですか?
頭や数字で考えるのではなくて、感覚的に心地よいと思うこと、アナログ的なことを大事にしたいです。時にそれは、数字で示さなければいけないこともありますが、まずは感覚なのではないかと思っています。
その感覚を磨くには、日々自分の暮らしを丁寧に過ごしたり、心地よいと思うものを取り入れていくことも前以上に大事だと考えるようになりました。それが、家づくりにも繋がっていくのだろうと思います。