木造建築専攻
卒業生の進路
卒業生インタビュー

中島 創造 -工務店後継者の幅広い活動へ- 

地域密着型 完結型林業の実践工務店  「ものづくりを通して都市と山村を繋ぐ」

プロフィール

1980年 生まれ
中島工務店 東京支店 勤務(本社:岐阜県中津川市加子母)
森林文化アカデミー 木造建築専攻10期生

 アカデミーに入学したきっかけは、現場監督をしていた時に、携わった物件です。この建物はアカデミーの教員、学生が中心に計画したもので、建物の形状・配置や窓の位置・大きさなどすべてに理由があり、工事が進むにつれてその理由を理解でき、なるほどと思うところがたくさんありました。
現在の仕事は、住宅設計・現場監督を中心に、お引渡しを終えたお宅の定期点検・メンテナンスはじめ、原稿の執筆及び、ブログやコラムにセミナー講師や、かしもツアーのガイド等を、うまくバランスを取りつつこなしています。現場では大工さんをはじめとする職人さんや住まい手の方との打合せ。会社では、設計や段取り、見積もり、住宅性能の計算などいろいろな仕事をこなします。
東京で暮らしながら「ものづくりを通して都市とふるさとの山村を繋ぐ」ことに取り組んでいます。


質問1)今の仕事内容は?

仕事内容はたくさんありますが、住宅設計・現場監督を中心に、お引渡しを終えたお宅の定期点検・メンテナンスはじめ、原稿の執筆及び、ブログやコラムにセミナーの講師や、加子母ツアーのガイド等を、うまくバランスと取りながらなんとかこなしています。

質問2)一日の仕事の流れは?

通常、朝は7:30から始まります。まず清掃です。会社に行くときは会社の中や自分の机の廻り、現場に直接行くときは、現場の近隣周辺清掃をしています。清掃を終えると、現場では大工さんをはじめとする職人さんや住まい手の方との打合せ。会社では、設計や段取り、見積もり、住宅性能の計算などいろいろな仕事をこなします。

質問3)休日はどんなことをしてますか?

好きな建築を廻ったりしながら、趣味のスケッチを書くこともありますが、故郷でもあり、ものづくりの拠点でもある加子母(かしも)を、大小含めて年に10回程度は案内します。
加子母ツアーの定番コースは、初日に社有林から原木市場、製材、加工と家づくりの流れを見て廻ります。夜は地域の温泉にゆっくりつかり、満天の星のもと加子母名物の鶏(ケイ)ちゃんを食べて終了。二日目は、初日の過程を経て出来た建物や地域の名所を巡ります。ものづくりの拠点を実際に体験できるツアーで、 喜んでいただけるのでやりがいがあります。

建て方メンバー(加子母地域+東京の職人)質問4)今の仕事できついなーとか、これはやりがいがあったというのは?

きついのは、東京を拠点にしているので、わが社のものづくりの拠点の加子母から離れていること。すぐに材料を見に行ったり、現地の職人さんと話したりがなかなかできません。そのため、後からあれを見るの忘れたーーーが無いように打ち合わせ事項は綿密に計画することが必要不可欠です。
離れていて大変な分、うまくつくり終えた際の感動はより大きいかもしれません。現在は東京支店ですが、ほとんどの大工さんは出身の加子母や周辺地域の大工さんが殆どで、長い間一緒に家造りに携わっています。こうした顔の見えるものづくりが、良い仕事に繋がっています。
東京という都市で生活しながらも、故郷の仲間と共になって、地域の材料を使い、ものづくりを行う。結果としてそれが地域活性にも繋がっていることが一番のやりがいです。

作品(縦)竹ノ塚の家質問5)家づくりの際、どんなことを意識していますか?

住まい手さんに対しては、家づくりのそれぞれの段階で、楽しみを感じもらうように意識して仕事をしています。
設計の段階では、こんな家ができるんだということを分かりやすく伝えるために、コンピューターを使ったシミュレーションや、模型など、普通、最初は間取り図程度が出るんだろうといったときにも、予想されている以上のものを用意します。
工事中にもいろいろ工夫しています。毎週現場レポートをつくって、写真やコメントで家づくりの進捗を伝える工夫を行っています。
引き渡しの時は、もうひと手間かけて「家づくり奮闘記」という現場監督だから観える視点でまとめたアルバムを作ってお渡しします。喜んでもらえた時の嬉しさで、苦労は吹っ飛びます。

職場の写真(本社・プレカット・造作工場・機材センター他)質問6)地域に貢献していることは?

意識の奥底で、いつも故郷の加子母を想い行動しています。みんなで仕事をするときや、ちょっとした会話の中でも、そんな想いが出ていると思います。こうした所からも、加子母の良さが伝わって人が多く集まる元気な地域になればと思います。
現在拠点にしている東京でも、故郷で培った人の暖かさを届けるべく、イベントやツアーを企画しています。まずは加子母という地名を知って貰うことがはじめ、人間関係の豊かさを拡げています。

質問7)アカデミーに入ったきっかけは?

現場監督していた時に、携わった物件がきっかけです。この建物はアカデミーの教員、学生が中心に計画した建物で、これまで普通に建てていた建物と違って、かなり細長い変わった形の建物でした。ですが、配置や窓の大きさなどすべてに理由があり、工事が進むにつれてなるほど、この場所、住まい手には、これしかないと思えるような空間が出来上がってきました。
私自身でもこんな設計がしたいと考え始め、本格的に建築を学んだ経験が無いこともあり、一大決心をして会社を辞めてアカデミーに入学しました。

質問8)アカデミーで得た学びは?

思い描いていた専門授業はもちろんですが、人に伝える手法やまとめ方をいろいろ体験できたことは大きいです。これらは、私の財産になっていて、先日も筑波大で講演をしてきたところです。

質問9)専門分野以外での学びは?

他の分野のエキスパートの先生と話ができる関係は非常にありがたく、いろいろなことを相談して答えが出せることは大きな学びになりました。
また、同級生もいろいろな学びをしていて、卒業後にもいろんな分野の同級生や先輩後輩と、仕事をしたり、遊びに行ったりと、人のつながりは非常に幅広くなり自分の考え方を拡げるのにプラスになりました。

質問10)アカデミー入学前のバックグラウンドが活かされていることは有りますか?

以前は土木関係の会社に勤めていましたが、人間関係が少しぎくしゃくしていたこともあり、社内の空気はあまり空気は良くないと感じていました。このような職場ではいい仕事ができないと、現在は同僚や職人衆などの、ものづくりに関わるメンバーとの意識共有や、方向性の説明などには気を使っています。こうすることが出来上がった建物にも反映されていると感じています。

質問11)今の仕事のモットー、これからの若者へのメッセージ

自分にとって天職と言える仕事を見つけよう。「天職と言える仕事」とは、その分野で一番と云われたりする事ではなく、自分自身にとって今以上に頑張れる仕事がないと思える仕事。

主査からのコメント

人のつながりを大切に仕事をする創造さん。傍から見ていると気を遣いすぎと感じるほど。でもこの気遣いがスタンダードなのは、生まれ育った加子母の空気感と、生まれ持った感性かな。現職場の大都市でも、人のつながりをどんどん拡げて故郷まで巻き込む大きな輪を作ってくれそうです。


連絡先

株式会社 中島工務店 http://www.npsg.co.jp/

本社:〒508-0421 岐阜県中津川市加子母1005
TEL:0573-79-3131 FAX:0573-79-3214
東京支店:〒136-0082 東京都江東区新木場3-4-10
TEL:03-3521-7773 FAX:03-3521-7774