林業専攻
卒業生の進路

田口 大介 -ふるさとの森を守る仕事-

ふるさとの森を守る仕事
田口1

プロフィール

1985年 生まれ 郡上森林組合 勤務

岐阜県郡上市八幡町で生まれ育ち、大学生時代にはいったん地域を離れたが、卒業後はまた地元に戻った。単身赴任が長かった父親を見て自分は地元で暮らすことを選んだ。
高校時代から環境問題に関心があり、森林管理や木材生産活動を通じて、環境問題に向き合うため、林業を選んだ。
名古屋産業大学環境情報経営学部卒業後、岐阜県立森林文化アカデミークリエーター科に入学、地域林業研究会に所属。課題研究では、竹林の整備と資源的利用について研究した。
平成22年3月卒業後、郡上森林組合に就職、現在に至る。


田口2質問1)今の仕事内容を教えてください。

朝7時過ぎに出勤し、主に山林境界の確認や、間伐など、事業箇所の範囲を決める。また森林所有者宅に訪問し、事業推進に向けた営業活動。

質問2)今の仕事のなかで「キツいな~」と思うことと、やりがいに感じることを教えてください。

仕事の後で、地域行事があり(消防や祭り)練習が大変です。

田口3質問3)今の仕事を通して社会にどんな貢献をしていると感じますか?

郡上市は総面積の9割は山林であり、山に囲まれた地域であります。山には土砂災害流出防止、水源の確保、木材等の生産力があり、多面的機能が備わっています。僕は小さな時から山や川に囲まれ住んでおり山は安らぎの場所でもあります。適切な森林管理を行うことで、森林生産力の向上や、水土保全に繋がり、木材の提供や地域を守る公益的機能があると感じています。

質問4)森林文化アカデミーに入ったきっかけは?

林業は危険な作業とは知っており、少し林業界に就くのに不安がありました。しかしながら、自宅から通える場所にアカデミーがあったため、林業への技術、知識を知りたく入学しました。また、林業だけでなく、建築関係や森林生態学などの専門の先生がおり、林業以外への学べる点も魅力でした。また様々な年代や地域の方が入学することから、世代や地域が違う人達と、学べる点にも魅力を感じました。

質問5)アカデミーで得た学び

山に入ると沢山の樹木があります。アカデミーに入る前は、まったく樹木の名前や特徴を知らなかったのですが、アカデミーの授業で樹木の名前、特徴を知ることができ身近にありながらも、知らなかった事が発見できた事です。知っているようで知らない事これは様々な事にいえると思います。自分の住む地域の歴史や文化を調べ掘り下げると今までとは違った地域のある姿を知る事ができます。アカデミーに入り、知っているようで知らないものは数多く存在すると気づかされた事です。

アカデミーを卒業して、つくづく思いますが、もうすこし木材利用にむけた授業に参加すれば良かったと思います。建築関係や、ものづくりなど木材を扱う人達にとってどのような素材が良いか、林業をやる上で欠かせない知識です。アカデミーでは木材活用の授業も充実しているため、もっと積極的に他の分野の授業を受ければと思う今日この頃です。

質問6)自分の専門分野の授業以外で役に立った(あるいは履修した)科目、プ ロジェクト、活動

アカデミーを卒業して、つくづく思いますが、もうすこし木材利用にむけた授業に参加すれば良かったと思います。建築関係や、ものづくりなど木材を扱う人達にとってどのような素材が良いか、林業をやる上で欠かせない知識です。アカデミーでは木材活用の授業も充実しているため、もっと積極的に他の分野の授業を受ければと思う今日この頃です。

質問7)アカデミー入学前の仕事や家業など、バックグラウンドが活かされていると感じたことがもしあれば。

高校の時、森林科学科という林業関連の学科に所属しており、林業に関わる事を少しは学習していました。また、大学の時は、森林生態学を専攻するゼミに所属していた事もあり、森林調査に関わっておりました。

質問8)今の仕事をしている中での「モットー」。これからこの道を目指す若者 へのメッセージ

林業活動は植林から下刈り、除伐、枝打ち、間伐等を行い50~60年かけやっと森林資源として利用できるようになります。山の手入れを行ったとしてもその山が最終的にどのようになるかは分かりません。また、殆どが国の補助事業の中で行っているため、様々な規約があり自分が行った行為が果たして山にためになっているか時々悩みます。しかしながら、少しずつ山の様相も変わり、それが楽しみでもあります。
現在は木材の利用時期に入っており、車両系を主とした木材搬出事業に向け路網の拡充、また伐り捨て間伐を含め、木材生産が可能な山にするため森林の手入れが必要な場所はまだまだ沢山あります。短期的には現在ある森林資源の有効活用と、また長期的な視野で森林保育活動を進めたいです。またモットーとしては、売手良し(森林組合並びに森林所有者)、買い手良し(製材所、木材利用者)、世間良し(森林の公益的機能の向上)の三方良しを胸に、林業活動を行いたいです。

田口4主査からのコメント

課題研究では、放置竹林の整備と、それにより発生する竹材の資源的利用について、実践的な活動を通じて検証しました。美濃市内の竹林で、ボランティア団体の協力を得て整備を実施し、専門家の指導協力を得て、破砕処理を行い堆肥として地域の柿栽培農家やボランティアに関わった住民に配布、還元しました。単なる荒廃林整備にとどまらず、資源利用をセットで考えたところは、非常に優れた観点を有する研究であったと思います。小規模の実験でしたが、所有者からも感謝され、関わってくれた人たちからも評価を得られたことは言うまでもありません。

田口5田口さんは誠実で明るい人柄で、学生時代から友人も多く、職場でも先輩方からかわいがられていることと思います。地元で生まれ育った若者が、地元で林業に就くことは意外に少なく、まして大学や専門学校で学んだ後の就職ですから、地域や組織にとって、頼もしく、貴重な後継者です。組織の中で着実に信頼や実績を積み上げてゆくタイプだと思いますので、将来的には森林組合の事務業務を担ってゆかれることと思います。田口さんに続き、地元出身の若者の就業も増えていることから、彼らにとって頼りになる地元の兄貴でもあります。 田口さんは、地域に対する愛着が強く、自ら地域の森林環境を守ろうとする熱意を持っているのも、素晴らしいことです。あとは田口さんと一緒に郡上で暮らしたい女性と早く巡り合えるよう、期待しています。


連絡先

郡上森林組合  http://www.gujyo-forest.jp/
〒501-4223 岐阜県郡上市八幡町稲成525-7
Tel.0575-67-1133 Fax.0575-67-1132