3 施設と機材
本学では、現地現物主義をモットーに実践を重視したカリキュラムを用意し、これらの授業に必要となる様々な施設や機械を揃え、現地で学ぶことができる実習授業を多く提供しています。
実習授業では森林の機能別ゾーニングを把握するための踏査に始まり、木材生産機能の高いエリアにおける森林資源を調査し、続いて、実際にその場所の立木をチェーンソーで伐倒し、高性能林業機械で集材します。その後、丸太を製材加工し、その材料を使って自力で建物を建設する一方、皆伐地は植栽を行って、獣害防止ネットを施行し、育林のための下刈りをする一連の行程を授業で実習しています。
アカデミーには、これらの学びに必要な様々な施設や機材が揃っており実習を通した現物の学びを実現しています。
設備① 山から集材・搬出する高性能林業機械や林業架線
様々な林業機械を実際に使いながら、安全かつ効率的な収穫方法について学びます。現場でチェンソーで伐倒した立木は、タワーヤーダやスイングヤーダの架線系機械で集材し、造材してグラップルで積み込み、フォワーダでアカデミーの土場まで運搬します。現在、タワーヤーダ、小型グラップル、小型運材車を備え、一部をレンタル機で対応していますが、近く作業に必要な林業機械が揃います。集材距離によっては機械集材装置を用いなければならない場合もありますので、林業架線を実際に架設し集材できる技術も学んでいます。これらに必要な安全教育である「車両系木材伐出機械の特別教育」や「林業架線主任者講習」の授業もあわせて実施しています。
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スイングヤーダという高性能林業機械で、木を斜面から引っ張ってくるのに使います。
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ただ機械に乗って作業するだけではなく、機械の値段、木材の価格など見ながら、林業の採算性についても検討します
設備② チェンソー・刈払い機
実際に演習林での立木を伐倒し造材するため、各自にチェーンソーを貸与し実習を行っています。これらの実習に先立って、法令に基づいた安全衛生教育である伐木等の業務で必要となる特別教育や安全教育に基づいた刈払機の授業を行っています。また、(株)スチール社の協力を得て、最新の知見で充実した実習を提供しています(エンジニア科と共同で授業を実施)。
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技能を磨きたい学生は、たくさん学内にある丸太を利用して自主練習を行っています。
設備③ 丸太の製材加工と利用
演習林から生産された丸太は、本学の製材棟で柱等に製材され、自力建設の材料や森林作業道の丸太組工の材料等にも利用されます。学内で製材することで、山での施業方法と材質との関係や外見上の腐りと中の品質との関係などを直に学ぶことができます。
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演習林の丸太を製材して、節や腐りの部分を板にするとどうなるのか、直に確認する事ができます。
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チェンソー製材機もあり、現地で製材加工することも出来ます。
設備④ 苗畑と皆伐跡地の植栽
本学にはスギやヒノキを育てるための苗畑があり、ここで育苗した苗を皆伐跡地に植栽します。また、シカなどの食害から植栽苗を守るため、獣害防止ネットを設置するとともに、保育のための下刈作業が継続して行われ、演習林の森林資源を循環し利用しています。
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苗畑から苗木を掘り取り、皆伐地へ運びます。皆伐地も演習林の中なので、苗畑から歩いて5分です
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1年前に皆伐した箇所に植栽していきます
設備⑤ プレゼン資料の作成と発表のための情報処理の設備
「森林政策・森林計画」の授業では、クリエーター科林業専攻の学生とエンジニア科の学生が合同で学ぶため、クリエーター科がリードするよう編成した班ごとで、ワークショップ形式により演習林の定点を踏査させ、現場で検討しながらゾーニングしていきます。
最後は各班から発表があり情報処理室にあるコンピューターのパワーポイントを使って、どんな理由でその場の森林機能を選んだのか検討結果をします。
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情報処理室です。森林管理に必要なGISもここで学びます。
設備⑥ 森林資源の調査のための機材
木材生産機能に区分した森林を「森林評価・収穫調査」の授業で、小面積に周囲測量し、バーテックスなどを使って毎木調査を行います。
これにより材積や評価に必要な測量データを収集し、情報処理室のコンピューターでエクセルを用いての収入試算や現場の作業システムを想定した経費試算を行い収支予測をします。
また、収集したデータから相対幹距比、形状比、樹冠長率など森林の健全性の指標となる値を計算し指標に照らし評価します。