右田 裕基(みぎた ゆうき)
伝えることは、伝え手のメッセージと聞き手の関心をつなぐこと
職業:インタープリター
・プロフィール
岐阜県出身。2009年に森と木のクリエーター科入学。在学中は環境教育・インタープリテーション研究会の先生達の仕事に同行し、環境教育の現場を経験。また、美濃市洲原地区の地域おこしに関わる。卒業後は(株)自然教育研究センターに入社し、環境省管轄の「那須平成の森」「那須高原ビジターセンター」の立ち上げから運営に関わる。現在は、東京都立河畔公園「山のふるさと村ビジターセンター」に所属し、現場でのインタープリテーションの実践と研究、普及に携わっている。
【質問①】アカデミーに入学を決めたキッカケ
当初は自分の田舎に戻ろうと考えて、地域の産業に就職するための勉強をするつもりで入学しました。しかし、入学後のオリエンテーションで当時の「環境教育・インタープリテーション研究会」の先生方が行った「ITS(インタープリテーション・トレーニング・セミナー)」に衝撃を受けてこの研究会に所属することにしました。「見えるものを通して、見えないものを伝える」「3つのT」など、インタープリテーションのメソッドは、前職で営業をやっていた僕は目からウロコでした。
【質問②】アカデミーの学生生活で印象に残ったこと
主催キャンプを実施したことです。企画から広報、実施まですべて学生で運営したことが今にして思えばよくやらせてくれたな、と印象に残っています。道具の準備や段取り、リスクマネジメント等を実践を通して学ぶことができたのは、今の仕事でも大いに役立っています。また、子ども達がキャンプを通して成長していった様子を見ることができたことも良い思い出です。
【質問③】仕事を選んだ理由、今の仕事のやりがい
在学中にアメリカのインタープリターの話を聞き、かっこいいな~と思ったことが最初のきっかけでした。そこからアカデミーで自然体験活動の重要性を知り、「体験から環境保全を考えるきっかけを作る」という仕事は日本でも求められていることを実感したため、自分もプロでやってみようと思うようになりました。 仕事のやりがいは、今は公園のミッションを達成できたと実感できたときです。この仕事の成果が見えるには長い年月がかかりますが、小学生が中学生になり、「自然で遊ぶことが楽しい」から「自分が自然環境に対してでできることは何か?」と意識が変わっている姿を見ることができたときは自分がやってきたことが少しは伝わったのだなと感じ、嬉しかったです。
【質問④】アカデミーの学びで役に立っていること
「林業」、「調査」、「加工」と広く基礎を学ぶことができたため、それがバックボーンとなり、仕事の上でも広い視野から考えることができていると思います。後はフィールドワークなど実践の比重をアカデミーでは大きく取っていることから、頭だけではなく身体で学ぶことができたことも役に立っています。
【質問⑤】今の仕事で意識していること
今勤めている自然公園は、ビジター(来訪者)に取っては特別な環境です。そのような場所に来る方の多くは少なくとも自然に関心を持っている人ですが、「自然が好き」から「自分で環境に対してアクションを起こす(発信する)」ことができるようになる人を増やすことが使命の一つです。そのために、ビジターが自然公園で持ち帰ったメッセージを、自分の身近な場所ではどうか?と考えるきっかけをどう作るかを日々の業務では意識しています。また、公園に来ることができない層や無関心層に対して、どのようにアプローチをしていくかも命題です。
【学生に向けてのメッセージ】
他のOBの方も述べていますが、2年間は短い時間です。まずは受け身ではなく主体的に動くことを意識されてはどうでしょうか。アカデミーの良いところは先生との距離が近いことです。主体的に動けば、先生方も真摯に答えてくれると思います。また、学校はゴールではなく将来仕事をする上での通過点ですから、ゴールを設定してそれに向かって学生時代に集中して取り組まれると、きっと悔いの残らない2年になるはずです。あとは、学生生活を楽しむことです。
(2019.611掲載)