辻 祥悟(つじ しょうご)
エコツアー、修学旅行、企業研修から狩猟、農体験、地域活性まで
老舗自然学校スタッフ
1985年 生まれ
NPO法人ホールアース研究所(ホールアース自然学校)スタッフ
大学卒業後アカデミーで環境教育を学び、「しずおか環境教育研究会(エコエデュ)」に就職。幼児環境教育を中心に、受託事業やボランティアコーディネートを担当。6年半勤めた後転職、現職に就く。今の職場は、富士山麓をベースに、エコツアー、キャンプやカヤック体験、指導者育成や企業研修など、多岐にわたる活動を展開する国内有数の老舗自然学校!修学旅行の受け入れだけでも年間20,000人を超えるほど。近年は、地域活性、耕作放棄地対策や獣害対策など、農山村地域の課題解決をゴールとした活動も行っています。
質問1)今の仕事内容を教えてください
ホールアース自然学校は、日本で一番最初にできた自然学校です。北は福島、新潟、南は沖縄にまで分校があります。原点は、動物農場。家畜動物と寄り添う暮らしから、自然界や他者への理解を深め、生きる力を育むことを目指して始まりました。
富士山麓の自然をベースにしたエコツアーやキャンプ、指導者育成や企業研修など、多岐にわたる活動を展開してきました。
修学旅行の受け入れだけでも年間20,000人を超えます。近年は、地域活性や、耕作放棄地対策や獣害対策など、農山村地域の課題解決をゴールとした活動も行っています。
質問2)今の仕事のなかで何か感じることがあれば教えてください。
ホールアースのすごいところはとにかく実践主義なところ。自らが実践者となることで、メッセージを伝える際に言葉の重みが出ます。たとえば、キャンプ場に使うウッドデッキは自分たちで建てています。しかも、荒れた人工林の手入れを兼ねて、木を伐り出すところから。アカデミー時代は環境教育がメインで林業にあまり触れずに過ごした自分が、チェーンソーで木を伐り倒し、丸太を担いで運ぶ日が来るなんて思ってもみませんでした。
質問3)今の仕事を通して社会にどんな貢献をしていきたいですか?
今年から離島を除くと全国で一番人口の少ない村客誘致事業に関わることになりました。自然学校のノウハウを活かし、村の観光資源を発掘・企画化することで、観光客を増やし、将来的には村の人口増(過疎脱却)を目指しています。今の私はまだ、たくさんの村人に会い「講師となりうる人材発掘」「村のお宝」を探っている段階ですが、徐々にソフトの提案がしていけたらと思っています。
質問4)アカデミーに入ったきっかけ、(他の進路と迷っていた方は、なぜ他を捨ててアカデミーにしたかも)
大学在学中から、自然保護に貢献する仕事したいな~と思っていました。でも理系だったので、理系の場合は科学的対処法で自然保護をしていく道ばかりでした。そんな中、北海道のウトナイ湖ビジターセンターのレンジャーに出会う機会があり、子どもたちと水生昆虫をとりながら、生態系の話や自然保護につながるような教育をしている姿にショックを受けました。「こんな仕事があるんだ!」って。科学的対処法ではなく、「人」を変えていくことで自然保護につなげたい。そう思い、ネットで調べ ていたら森林文化アカデミーを知り、インタープリターの父、故・小林毅さんのもとで学びたいと思い入学しました。
質問5)働いてみてから気づいた「アカデミーで得た学び」は何ですか?
質問6)自分の専門分野の授業以外で役に立った科目、プロジェクト、活動
里山の動植物の同定や、林業の基礎の勉強は、今の環境教育の現場づくりにとても役立っていますし、ものづくりの基礎を通して、人のつくったものの裏側が気になるようになりました。視野が広くなったというか、ものを見る目が変わった気がします。
質問7)アカデミー入学前の仕事や家業など、バックグラウンドが活かされていると感じたこと
大学時代のウトナイ湖ビジターセンターでのボランティア経験は役にたっています。環境教育を普及する際、すべて自然のため地域の為と思ってやってしまいがちですが、実際に地域に入ってみると自分勝手な思い込みだったことに打ちのめされました。
カワイイと思っている動物も地域の人にとっては時には害獣や敵にもなっていることを知り、自分のやりたいことを押し付けてる(理想主義)ことに気づけたのがよかったです。この感覚は今の職場で地域住民の意見を聴きながら地域の指導者を育成していく際に活かされています。
質問8)今の仕事をしている中での「モットー」。これからこの道を目指す若者へのメッセージ
自分に限界をつくらず、ちょっと背伸びして挑戦すれば、案外先に進めます。
主査からのコメント
在学中から「聴く」ことをしっかりとやっていた“つっち~”(辻祥悟さん)は、幼児からも大人気でした。アカデミー在学中は、地域の幼児の「森のようちえん体験」を園の先生たちと相談しながら実践したり、指導者のためのマニュアルを作っていました。子供達に大人気の柔らかさの中にもしっかりと粘り強さがあり、そこが今の現場での頑張りにつながっているのではないかと思っています。今後の活躍を期待しています。