森林環境教育専攻
卒業生の進路

佐藤 聖人(さとう まさと)

ゴルフ場跡地を再び森に!前例ないチャレンジに奮闘中

 

・プロフィール
企業の森づくり担当
1991年生まれ。大学で森林動物管理学、大学院で環境社会学を学ぶ。卒業後は森林組合で4年半林業に従事。近自然の森で経済と環境を両立させる「スイスの森づくり」に興味を持ったことをきっかけに、ゴルフ場跡地で森づくりを進める食品メーカー、株式会社銀の森コーポレーションに転職。会社から派遣という形で森林文化アカデミーに入学。

【質問①】アカデミーに入学を決めたキッカケ

もともと森林文化アカデミーに興味はあったのですが、キッカケはというと・・・。実は前職は林業だったのですが、大規模な林業のあり方に現場でモヤモヤしていたんです。そんなときに、スイスの「森も人も豊かになる森づくり」に出会い、「こんな森づくりがしたいなあ」と憧れました。そしたら、知り合いの方に「銀の森」という会社でこんな面白そうな仕事の求人があるよと紹介いただいて。「ゴルフ場跡地を森に還す」という仕事。とてもワクワクしました!また、なんと、入社の条件が「アカデミーに入学すること」となっていました。そして縁あって入社が決まり、アカデミーの入試も突破しました!

【質問②】アカデミーの学生生活で印象に残ったこと

いい意味で、変わった先生たちが変わった授業を実施していて、それらを変わった同級生たちと一緒に受ける。こんな県立の学校があるんだと驚きました。そんな中でも、今の仕事に大きく影響している「パーマカルチャー」や、いつかやりたいと思っている「馬搬・馬耕」の授業は印象に残っています。どちらも、先の見えないこれからの時代に必要だなと思いましたし、何より自分がワクワクしました!え、食べられる森っていうのがあるの!?とか、馬ってこんなにすごいの!?とか。詳しいことはぜひ体験して実感してもらいたいな。

【質問③】仕事を選んだ理由、今の仕事のやりがい

憧れていた「森も人も豊かになる森づくり」が目指せるかもしれないと思ったんです。それと、素材(木材)生産という日本の林業のメインストリームからは離れてしまうけれど、森林空間利用や森林環境教育を含めた森づくりにも挑戦してみたいとも思っていました。欧米ではそれら全てを含めて林業(Forestry)と呼んでいますから。今の仕事は、アカデミー在学中に考えた森づくり構想をベースに、土づくりから森づくりをしています。それも食べられる森づくりを。まだ一般にOpenできていないですが、ゼロから森をつくっていくプロセスに、一般の人も関わってもらえるような仕掛けを少しずつ展開していこうと考えています。そんな仕事のやりがいは・・・全てです!前例のないこと、経験したことがないことに取り組ませてもらっているので、その全てがやりがいだと感じています。正直、困難なことばかりですが。。全て自分の力になると思って、日々励んでいます。Probllem is solution!

【質問④】アカデミーの学びで役に立っていること

人とのコミュニケーションに関する学びが最も貴重な時間だったと感じています。今その全てが自分の力となって発揮できているわけではないけれど、本巣市の根尾で体験した「プロジェクトアドベンチャー」や、トエックの伊勢達郎さんによる「コミュニケーションワーク」といった授業はこれから先役に立つと感じています。授業だけではなくて、学祭やゼミなど、みんなでやる日々の活動も。結局仕事って人とやることなので、当たり前のことなんだけど、人を大切にすることが今まで足りてなかったなあと、会社に戻ってからも痛感することがあります(感じることができるので、あとはより良く歩むだけ)。森の学校で、このことを教わったのは大事だと思っています。森をみていても人をみていなければ、森の価値は届けられないと思うので。

【質問⑤】今の仕事で意識していること

相手と自分のニーズの接点を意識するようにしています。例えば、弊社には「恵那銀の森」という食の複合施設があり、森のような庭が広がっています。日々の庭の手入れで落ち葉や剪定枝が集められ焼却処分されていたのですが、私たちの森づくりに使わせてもらうことにしました。そうすることで焼却するコストやリスクは減り、私たちも土づくりの資材費が浮いて助かっています。これは社内での一例ですが、社外の人たちと仕事をする時は特に、相手のニーズと自分のニーズの接点を意識し、好循環が生まれることを考えています。  

【学生に向けてのメッセージ】

学内・学外問わず、たくさんチャレンジして、たくさん失敗して、たくさん学んでください。ただし、できるだけ早いうちに「自分はこれで行く!」という軸は定めた方がいいと思います。魅力的な物事が多いから難しいんですがね。ちなみに私は、こどもキャンプのディレクターのような役割のことにもっとチャレンジすればよかったなあと思っています。今まさにそうゆうことを求められているので。自分で判断がつかなければ、同級生や先生にどんどん相談してみてください!

(2023.11.27掲載)