専門技術者研修「川上から川下へ 〜 ICT技術の利活用と地域活性化について 〜」
11月16日に、専門技術者研修「川上から川下へ 〜 ICT技術の利活用と地域活性化について 〜」が開催されました。
第一部「森林×IT 〜 SDGs時代の森林情報 〜」では、森林情報士の中村様から、森林計画の情報の循環や、森林経営管理制度を支援する情報システムなどについて、講演していただきました。
素晴らしい森林資源があるにも関わらずその価値がわからない地方自治体に対して「山の棚卸し」の取り組みを行った事例紹介と、行政情報の効率化を支援する行政型森林情報システムと、森林経営の効率化を支援する地域型森林情報システムの紹介がありました。
情報システムやデータ整備だけではなく、森林計画や森林整備を検査・評価・解析する仕組みを構築し、実行性のある計画になっているかどうか、実行体制に問題はなかったか、ルールは守られているか、採算性はどうかなどを、検査、評価、解析し、次の改善につなげるといったPDCAサイクルを回す取り組む仕組みづくりや、ICTを使いこなせる人材育成や、林業事業体のビジネスモデルとしてサプライチェーンマネジメントを適用した運用ができる組織づくりが大切であるとのことでした。
第2部では「フォレスタイル 〜ICT技術で地域課題を解決する 〜」と題して、東白川村地域振興課長桂川憲生氏に講演をしていただきました。
ICTを活用した薪販売のビジネスモデルの紹介、昨今の時代背景から昔ながらの注文住宅が売れなくなり廃業の危機にあった工務店からの相談を受け、東白川村で構築し運営している総ヒノキ注文住宅直販サイト「フォレスタイル」についてのご紹介がありました。取り組みのきっかけは、山に支えられてきた村にも関わらず木の価値が下がり、山の手入れもままならない状況を何とかしなければという思いから、ヒノキの葉の販売から始めたとのこと。
薪販売は、大手ホームセンターとICTをうまく活用し、顧客の心理を突いて東白川村の直接ネット販売に顧客を導くビジネスモデルを作りました。薪は、夏はキャンプ冬は薪ストーブと重要も多く、製造が追いつかない時もあるとのことです。
ICTを活用して住宅を販売するWebサイト「フォレスタイル」は、従来の注文住宅がなぜ売れなくなったかを顧客の購買プロセスを過去と現在で比較し、なぜ買わないのか課題を整理し表面的な課題と根本的な原因を整理することで解決の糸口や具体的な解決策を導き出しました。Webサイトは国の補助金を活用し構築されたそうです。
フォレスタイルでは、「間取りシミュレーション」により概算建設費が自動計算され、家づくりをガイドする「家活ナビ」により施主のカルテが作成できます。その後役場の担当がヒアリングを行い、希望すれば東白川村が指定する複数の建築士から気に入った建築士を選び、その建築士が作成した設計書を元に東白川村が地元工務店を集め入札を行うことができます。受注は、愛知県が5割、岐阜県が4割、東京からも4棟受注した実績があるとのことです。
フォレスタイルは、総務省から委託を受けて構築したWebシステムのため、全国の自治体や建築関係団体には無償提供しており、昨年は長野県信濃町で開始しており、来年4月には和歌山県の龍神村森林組合が開始するとのことです。
講演後は、入札を行うことにした時の地元工務店の反応はどうだったか、建築士はどのように選定しているのか、販売している住宅の平均価格は、Webサイトの運用は、建築木材が伐採されてから工務店に届くまでの流れは、など多くの質問がだされ参加者の関心の高さが伺えました。
ご参加いただいた皆様ありがとうございました