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2017年10月02日(月)

ロッテンブルク大学サマースクール2017報告(その2)

9/20(4日目) バイオマス関係

ロッテンブルク林業大学でバイオマスについての講義を受けた後、ウッドチップができるまでの工程を見てきました。

はじめに見たのは伐採現場です。ドイツトウヒ林でした。ここはチョーク地帯で成長はいいのですが芯腐れが起こりやすいそうです。そのため、芯腐れした材をチップにするということでした。伐倒する人は、伐倒するための道具のほかに輪尺とGPSを持ち、記録を残していました。

伐採現場

 

次に見たのは、チッパーです。ドイツでは、土場でチップにしてしまってからコンテナで運ぶことが多いです。その方が一度で運べる量が多いからです。チッパーが楽に入ることができ、チップにする予定の木が多いから普及しているのだと思いました。

赤いアームの先にグラップルがついていて、それを使って粉砕機に枝葉をいれ、緑の長い筒を通してコンテナにチップをいれていました。コンテナはすぐいっぱいになるので、ちかくにトラックがもう一台待機していました。

チッパー

 

写真のように、はいが沢山ありました。スプレーで書かれた数字は、はいがどこにあるのか、どこでとれたものなのかを把握するためのものです。いたるところにあるので、データとして管理することが大事なのだとわかりました。

積まれたはい

 

次にSCHOTTER TEUFELという会社を訪れました。石の粉砕の仕事とウッドチップの製造の仕事をやっている会社です。

ウッドチップの山が沢山ありました。チップの大きさ、質、原材料によってクオリティー1~3に分類されています。

クオリティー1は家庭用ボイラーの燃料として使われるもので、木部からできたおり、5cm以下、含水率20%以下だそうです。木部から出来ているチップなので石やゴミなどがほぼまぎれていませんでした。また、大きすぎて使えなかったチップは、汚水処理のフィルターとして使われることもあるようです。

ウッドチップの山

 

クオリティー2は大きなボイラー用で、原材料は枝葉です。まだ葉が緑の状態のものを置いておき、そこで乾燥させます。中で発酵が進み、湯気が出ていました。緑の枝葉のチップの山が、茶色のチップの山になるそうです。

クオリティー3は、剪定枝など廃棄物になるようなものが原材料です。大きいものは燃料として使われますが、小さいものはたい肥として利用されています。粉砕された石や灰を一緒に混ぜてミネラル豊富なたい肥にします。

この会社は石の粉砕を仕事でやっていけているから、ウッドチップの仕事もできるそうです。副業でないとやっていけないことがわかりました。

 

 

9/21(5日目) 森林土壌調査

この日も、はじめにロッテンブルク林業大学で森林土壌の講義を受けました。

ヨーロッパでは1984年ごろから酸性雨の影響が問題視され、土壌調査が活発に行われるようになったそうです。この授業の中で印象的だったことは、ドイツでの土壌の評価の仕方です。日本では、地位を基準に評価していますが、ドイツでは地位の他に変災に対する耐性、競争力、土地の生産性の確保といった、四つの項目によって評価されていました。四つの項目をそれぞれ三段階で評価していました。それにより確実な適地適木の判断ができます。

講義スライド

 

講義を受けた後、実際に森林土壌を見に行きました。見に行ったのは常緑針葉樹林です。元々は、ナラやブナの森林だったそうです。

ドイツは大陸がひとつしかない時代からずっと陸地だったので、粘土質の土がありません。写真の左に見える灰色の部分は砂のようなさわり心地でした。また、酸性雨の影響で酸がミネラルを溶かして養分を下に持っていってしまうので、ますます養分が少なく酸性質の土壌になってしまっていることが課題だそうです。

 

酸性が強すぎてミミズがいませんでした。常緑針葉樹は落葉広葉樹と比べて、落ちる葉が少なく、分解されにくいので土壌への養分の供給が遅くなります。それと比べて落葉広葉樹は分解されやすいので、養分の供給が早くなります。このようなことから、土壌を良くする為にもナラやブナの森林に戻すことが必要なようです。

 

午後からは、木材の販売の流れと、StanforD2010というシステムを教えていただきました。

 

木材の販売の流れの話で日本と大きく違うと感じたところは、ドイツでは販売先をフォレスターが決めることです。森林のプロフェッショナルなので、山の管理から販売まですべて行います。しかし、販売先まで決めるのは、独占禁止法に引っかかるのではないかという意見があり、現在裁判中だそうです。

StanforD2010とは、物流を効率化よくするもので生産から運搬、製材所まで、木材の流れをつなげるシステムです。具体的には、ハーベスタとフォワーダからの情報をデータに残すことで販売先などがスムーズに決まるようにします。ハーベスタで伐倒や造材を行うと場所、木のサイズが自動でデータ化されます。フォワーダは、場所のデータを元に無駄のない順路を通り運搬をします。

 

上の写真のようにどの道を通り、いつ何をしているのかが分かる仕組みになっています。日本だとハーベスタではなくチェンソーが多いので、自動でデータを残すのは難しいけど、すべてをつなぐシステムがあったら便利だと思いました。

 

 

エンジニア科1年 日下部智一