ビジネスゲームで林業事業体の経営を考えよう
クリエーター科林業専攻の1年、2年の「事業体経営」の授業です。
非常勤講師として鹿児島県の集成材メーカーである山佐木材の新永先生をお招きしました。新永先生は鹿児島大学でも非常勤講師として林業事業体の経営について講義をしています。
木材価格の低迷や人手不足など厳しい経営環境の中、所有山林の適切な経営管理が難しい場合は市町村が公的管理し、意欲と能力のある林業事業体につなぐなど、新たな森林管理システムが動き出しており、林業事業体には、より一層の経営能力が求められています。
そんな中、実際に学生みずからが経営者の立場で会社を経営する会社ゲームを実施し、持続的な経営にとって何が大事なのかを検討しました。
会社の意思決定に関わる要素として、所有する林業機械、社員の月給・賞与、事業費単価などを各自で決めた後に、実際に「事業地カード」を使って事業地を確保してもらいました。今回の会社ゲームの想定としては、森林組合などから素材生産の仕事を請け負う事業体をイメージしました。
事業地の確保は、あてずっぽで事業地を確保するのではなく、固定費変動費の分解、損益分岐点分析により目標とする年間事業量を算出した後で、計画に合わせて事業地を確保しました。
計画通りに事業地を確保できればそれで良しなのか?そうではありません…いろんな変動リスクが存在します。今回想定したのは、木材価格、現場の搬出作業の稼働率、haあたりの林分蓄積の3つです。
haあたりの林分蓄積なんて変動しないと思われるかもしれませんが、林業の場合、事業地全体を詳しく測量するわけではありません。一部のプロットを測量するだけで事業地全体の林分蓄積を推定するので、場合によっては思ったより伐採する木が少なかった、あるいは多かったという状況がありえます。
最後に実施したのは入札ゲームです。4チームに分けて競争入札です。例えば搬出材積3,000m3の事業地カードに対して、m3あたりいくらの事業単価で入札するのかを各チームで検討です。
入札金額もあてずっぽではなく、損益分岐を計算してはじき出しましたが、競争で負けて必要事業量を確保できない…、事業地をとりすぎて外注しないといけない…など、いろいろなケースが。実際にゲーム形式でシミュレーションする事で、事業地を確保できないと会社の経営がどうなるのか、理解することが出来ました。
今回は、社員の給料含めていろいろな会社の要素の意思決定を行いながら、ゲーム感覚でシミュレーションを行いました。外から会社を見ると、どの会社も同じ林業会社に見えるかもしれませんが、どういう方針で社員の育成を考えているのか(基本給は?定期昇給あり?)、大きい機械を投資して多くの事業地をこなしていくのか、少ない投資で地道に事業を進めていくのか、どのような意思で会社を経営するのかによって、大きく会社のスタイルが異なります。
2日間連続の講義の中で、林業事業体の経営のリアルを学ぶともに、そんな意思決定の大事さも学びました。