「木造建築の防火」~八ヶ岳の秘密基地~2022
(アカデミーでは独自の感染対策基準に則り、講師を含めた全員の「抗原検査での陰性を確認」をして学外授業を実施しています)
木造建築設計・防火のスペシャリスト安井昇先生による防火の授業です。
昨年はアカデミーに来ていただきましたが、今年は桜設計集団の秘密基地に木造建築の教員・学生でお邪魔しました。
「桜設計集団は集団ですが、私と加來さんの二人です」と安井先生の気さくなトークから授業が始まりました。
大きな漆喰壁に資料や貴重な実験映像を投影しながら授業は進んで行きました。
安井先生の授業は座学と並行して、実際に木材を燃やします。
実際に木材を燃やすことで、木材は水分を多く持っていて、ゆっくりと燃焼していくことを知りました。
座学の後は木材を燃やして焼杉作製の実習。
3枚の板を合わせ筒状にします。
下から火をつけると煙突効果によって上の口から激しく炎が噴き出しました。
中の温度は約800度まで上昇します。
安井先生は『火育』と言いながら木材を燃やします。
3分程燃やし倒してバラバラにします。
すると互いの放射熱を得られずすぐに鎮火しました。
もちろん消火器も水もかけていません。3枚の板は互いに熱しあっていたのです。
この3分間で約3ミリが燃えました。もし隣の家が火事になっても、30ミリ厚の壁があれば30分炎を防げ、十分に逃げる時間が生まれます。木材でも防火はできるのです!
左木材・右金属
どっちが熱い?
木材と金属を裏側からバナーで炙ります。
誰が見ても金属のほうが熱いと分かりますよね!?
木材は触っても熱くありませんでした。
木材には高い断熱効果もあるのです。
集成材スエーデントーチでお湯を沸かしました。
雨が降っていたので、集成材が湿っていたのかなかなか火が付きませんでした。
火を起こして燃やし続ける難しさを体験しました。
このお湯は休み時間のコーヒーになりました。
秘密基地での食事は加來さんと安井先生のお手製料理です。
どれもとてもおいしく幸せな時間でした。
私は食事の時間を楽しみにしながら授業受けていました。
しっかりお手伝いもしましたよ!
食事を作るのも火育です。
お米を炊いたり、肉を焼いたりしました。
お邪魔した秘密基地は安井先生と加來さんが設計しました。
寸法や使用している木材など見所が沢山ある建物なので、食事を用意してくださる間、それぞれの視点で実測野帳を付けました。
みんな真剣に描いていて、とても静かでした。(先生も描きましたよ!)
今回の授業で、木材は燃え方を知れば、ある程度燃え方をコントロールできることを知り、燃え抜けない、燃え広がらないことが防火には大切だと学びました。今後、木造の建物を設計して行くにあたり、設計者は住人が使いやすい・住みやすい設計をしつつ、住人を火災から守り、広げない設計をすることがとても大切だと感じました。
安井先生、加來さん大変お世話になりました。ありがとうございました。
来年はアカデミーで開講予定です。最高のおもてなしを準備します。すでに来年が楽しみです。
クリエーター科1年
木造建築専攻 坂本