【収納家具2023演台製作(2)】製作編
飛騨市の短期乾燥小径広葉樹を使った演台、製作編です。
(材料編)で触れましたが、製作で小径木を使うにあたりいくつかの工夫をしました。
幅広の板が欲しいときは何枚かの板を幅方向に矧ぎ合わせて使います。小径広葉樹は曲がりも強く、まっすぐに幅を揃えて使おうとすると有効幅がとても狭くなります。また枚数が必要になり端材も多く出てしまいます。そこで今回演台の正面の板は曲がった材の有効活用をしようと、木の形に沿ってカーブで矧ぎ合わせ、一枚の板にしました。
全部一本の木から取れた板で作っていることもあり、言われないと気づかないくらいとても自然な仕上がりにすることができました。気付かれないのももったいないので(笑)、ぜひ実物を見る機会のある方はその部分に注目してもらえたらと思います。
演台はもとのものより一回り大きいサイズにしました。重くなることが予想されたので、上下に分割できるように製作しました。
上部は板材で構成される「板組み」。下部はフレームに鏡板を組み込む構造の「框(かまち)組み」です。
板組では木目方向で収縮の違いがあります。反りを抑え収縮に対応できる構造にしないと季節による湿度の変化などで板が割れてしまったりなど、不具合が出てしまいます。材の動きを考慮した設計で製作を進めました。
今回はミズナラ、クリ、ブナの3種類を使って製作しました。原木から数本製材してもらいましたが、小径材だと一本から取れる板は多くありません。数本の同じ樹種で作れば統一感は出ますが、あえて数種の材の原木を選び、特性に合わせた使い方をしました。重たくて強度のあるミズナラは構造材に、軽いクリは使う面積の広い板材と鏡板に、ある程度の硬さがありミズナラほど重くないブナは天板などに使用しました。
3樹種を使い、上下の箱で構造の違いもあったので、出来上がったのは1台ですが学生の皆さんにとってはたくさんの学びの詰まったものになったのではないかと思います。
塗装にはイケダコーポレーションのリボス、アルドボスを2回塗りで使用し製作終了しました。
次回は(完成編)です。
木工専攻教員 渡辺圭