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2024年06月13日(木)

【木工機械使用法】1年生の製作実習が本格スタート

1年生達が入学して、早もう3か月目に入ります。
クリエーター科の木工専攻では、1年生達の本格的な木工機械を使う製作実習が始まっています。

最初に学ぶのは「木取り、木作り」と呼ばれる工程です。木取り、木作りとは図面寸法通りの直角、平行のとれた板を作る作業のこと。ここでの精度が甘いと、製品にばらつきが出たり、工程に手直しが必要になったり。単純な作業ですが、同時にもの作りの基礎になる工程です。

1年生達は作業のながれを1つ1つ理解していきながら、同時に機械の使い方も学んでいきます。

バンドソーでの木取り

材料店から購入する板は、表面が凸凹した荒材。ここから平面の取れた板を作ります。

手押し鉋盤での矩出し

機械はどれも大きな刃物が高速で回転しています。まずは安全のポイントを理解します。

大きい材の分決め

機械の使い方を学ぶには、数をこなすことも大切です。

木取り、木作りについて体験した次の課題は、お弁当箱の製作です。この実習では、毎年学生が自分が食べる量に合わせて、自分サイズに寸法調整したお弁当箱を作っています。今年は、学内の簡易製材機で製材して乾燥させておいたトチのストックがあったため、これを材料に使うことにしました。(ちなみに昨年はケヤキを使用しました)

お弁当箱作りには、工房にある基本的な機械をひととおり使うため、機械について学ぶ教材としても適しています。また、完成した作品を実際に使う体験を通して、木の良さを実感として自分の言葉で語れるようになって欲しいというねらいもあります。

木取りの計画

箱作りは木目を繋げる木取りの仕方や木の動きへの対処方法など、木工の基本をたくさん学べます。

ノギスで測る

製作に必要なのは0.1㎜までの精度。まずはノギスで正しく測る技術が必要です。

皆さんも思い起こしてほしいのですが、初めて体験する作業では、キチンとした「正解」というものをイメージすることができません。そのため、1つ1つの行程でも、これで大丈夫なのか?ちゃんと自分はできているのか?という不安と隣り合わせで作業は進んでいきます。モノづくりでは、工程が進んでいくごと、自分が行った作業が形となって目の前に現れます。うまくいった部分。少し失敗してしまった部分。色々な体験をしながら、そのすべてが学びと経験値になっていきます。

寸法チェック、あってるかな?

加工をした材料は皆で1度、寸法をチェックをします。

箱の組立て

箱の組立て。形が組みあがり、ひとまずホッとする場面。

かんざしの溝突き

板の接合部分を補強する「かんざし」の加工。

かんざしの差し込まれたお弁当箱

かんざしの差し込まれたお弁当箱

ベルトサンダーを使った目違い払い

かんざしの取り付け部分にできた段差を、ベルトサンダーで平らに仕上げます。

鉋で表面をひと削り

フタの木取り。トチの板は逆目と呼ばれる表面の荒れが出やすい材。手工具の授業で仕込んだ鉋で逆目を削り落とします。

フタの欠き取り加工

・お弁当箱の実(本体)ができたら、現物合わせでフタを作ります。

そんなふうにして工房の機械で作った最初の作品「トチのお弁当箱」の木地(無塗装段階の製品)が無事に完成しました。このお弁当箱は、木材塗装の実習で今度は漆を塗って完成させます。みなさん、引き続き緊張感をもって取り組んでください。

トチのお弁当箱(木地)が完成!

トチのお弁当箱(木地)が完成!

夏休みに入ると、1年生達も教員の立会い無しで、工房の機械を使用することができるようになります。引き続き制作課題をこなしていきながら、基本となる安全な機械の操作方法をしっかりと身に付けて行きましょう!

木工専攻教員
前野 健