製材プロジェクト授業「製材から川上〜川下を考察する」<後半>
こんにちは。林業専攻2年の後藤です。
前半では製材・木材の先生である吉野先生と一緒に山を見に行き、中がどうなっているか見たい!の欲求が極限にまで高まったところで、後半は製材のお時間です。
山でどうしても気になったのは、樹皮に現れる枝の跡!これって、材のどこまで影響が出ているのか…?
製材棟にあった丸太、普段はあまり気にしない樹皮にみんな大騒ぎ。こんなに丸太の樹皮を見たのは初めてです。
木口を見ると、節を発見!樹皮まで辿ると、樹皮に跡が現れていました。
枝の後から樹皮までを数えてみると、34年も経っていました。そんなに前の跡も、樹皮に痕跡が残っているとは…。
節の跡をぺろりとめくってみても、下の材は…綺麗なものもあれば、ボコっとふくらんでいるものもありました。皮がめくれていても、なんとなく分かります。
ちなみに、節のようで丸太のほうには節がない節跡は、製材屋さんなど業界では「セミ」「目こぼし」と呼ばれているそうです。「セミ」とは、節の形がセミに似ているというわけでは必ずしもなく、「表面に止まっているだけ」ということを表しているのだそうです。
買い付けをする人にとっては、「買い」のサインとなります。しっかり見極めねば…。
枝跡に印をつけ、節が分かるように板引きしていきます。「こんなに樹皮を見たことはないなあ」と吉野さん。
また、演習林を歩いたことで、この丸太がいかにまっすぐで節が少ないか、より価値が分かった!と一言。
一度木を見に山を歩くことで、製材を行う方の気持ちも変わるんだなあと感動しました。
さて、製材プロジェクトの授業の良いところの一つは、普段の授業より少人数のため、機械に触れる学生も多くなります。製材機の使い方のレクチャーを受け、学生の手で丸太を挽いていきます。
板を並べ、みんなで観察です。
樹皮の跡の下には、影響を及ぼしていると思われる節が観察できました。
枝が落ちた後20年以上たち、木材としては巻き込み終わっている部分でも、樹皮に跡が残っていました。
これまで、樹皮の跡は、なんとなく材の表面まで傷がまだ残っているように感じていましたが、そんなことは無いことが発覚。
そこで、よく使用される12cm角の柱について節の有無を比較してみました。枝打ち後に成長することで、丸太表面では節は隠れてしまいます。いつ(どれくらいの太さで)枝打ちしたかのタイミングと柱の寸法との関係で、無節材が採れる場合と、節のある材が採れる場合があります。しかし、両者では樹皮表面の傷の差についてはあまり無いことも分かりました。丸太表面が無節だからと言って、無節材が取れるわけではなく、さらに細かく材を観察する必要があることが分かりました。
また、本当に無節の材が必要な時には、その山がきちんと枝打ちされているのか、山自体の素性も知っている必要があります。材の見極めには様々な経験と知識が必要でとても難しいですが、今回のような授業を通して、自分の中にデータを貯めていくことで、少しでも材を見る目を養えるはず!
最後は、板を見ながらおやつタイム。のんびり板を見ながら飲むお茶はとてもおいしかったです。
山も材も見る、学び多い機会になりました!
吉野先生、ありがとうございました。次回の製材講義では何が起こるのか…乞うご期待です。
終わり。
(林業専攻2年 後藤)
(担当教員:木造建築専攻 吉野)