製材プロジェクト授業「製材から川上〜川下を考察する」<前半>
こんにちは。林業専攻2年の後藤です。
このプロジェクト授業、川上から考えるとあるのに、山に行っていない、製材の先生と山の木を見たい!という学生たちの思いから、今回の授業を企画していただきました。
林業の学生からすると、川下でどのような長さ・太さ・形状の木が求められているのか、需要を考える機会が普段の授業ではなかなかありません。
木材として、川中〜川下の人はどんな目で山の木を見るのか?その視点を少しでも持てれば、山づくりや山の施業も、より価値を上げること、山を楽しむことにつながると思い、吉野先生を山に引っ張って来ました。
まずは、事前に学生が調べた、アカデミーが林業短期大学校だった頃の計画で、「優良大径材」を育てるとしていた場所を見に行きました。
54年生のヒノキ林。10年生の頃から3回枝打ちが行われ、過去に一度2割程度の保育間伐がなされています。100年生の時に、胸高直径30cm以上の大径材を目指した林。計画されていた間伐はなされておらず、材を太らせるのはなかなか難しそうです。
どうして当時大径材が目指されたのかという生徒からの質問に対し、「当時は大径材の需要が出ると思われていた。将来のことは誰にもわからないのだから、当時の考えが間違いか正しいかではなく、我々がその木たちをどう受け取るかが大事」と吉野先生。
林分としては、しっかりと枝打ちがされていたため一番玉が良い材が取れそうだという話になりました。目的の内容に関わらず、森の目的を持つこと、森に手を入れておくことがまずは第一歩だと感じました。
また、次は林業の学生が「コシアブラとスギの混交林」を目指して、今年の3月に22%の間伐を行った現場を見に行きました。
この間伐では、学生が将来木を選定し、その支障木となる木を切っています。
将来木として選ばれた木はすでに直径30cm近くあり、大径材はなかなか利用が難しいと言われている中、この木に対してどのような需要があるのかと学生から質問が挙がりました。
吉野先生の答は、「需要があるかどうかを聞くのは愚問、欲しい人が使う」というものでした。
確かに、一般住宅での大径材利用は難しいですが、アカデミーに隣接する「モリノス」という施設では、直径約45cm、7mの通直なヒノキが使用されており、そのような公共建築など、どうしても使わざるを得ない場合もあります。
その時に、山側がどこに情報を共有して置くか。自分たちだけで持っていても、使いたい人まで届けるのは難しいかもしれません。地域の山の状況や木材がどこにあるかをよく知っている材木屋さん等、必要な人に木材を届けてくれる人に情報を集めておくことが必要です。
また、そういった山側のストック情報や川下のニーズをみんなで共有管理できれば、山を持つ人も、木を切る人も、もっと山のことを楽しめる!と希望が見えました。
何といっても、製材を普段行っている吉野先生が、目をキラキラと輝かせながら山を歩いていらっしゃるのが最高でした。
普段は来た丸太を挽くだけで、どんな森から出てきた木なのか、木が生えていた環境を見ることは無い。とても面白い!とおっしゃっていました。
川上〜川下で山を歩く効果は抜群と、授業内でも実証されていました。
また、この時学生が、「枝打ち跡の下って、どうなってるの?」と疑問を挙げたことから、今回の講義の内容は「樹皮の枝打ち・枝枯死跡と、材の節の出方の関係」について着目することとなりました。
確かによく見ると、たくさんある枝の跡らしきもの…これらは全て節として木材側に現れてくるのでしょうか?
製材編は、後半にて!
(林業専攻2年 後藤里花)