天然乾燥、手刻みの建て方
非常勤講師で防火の専門家・安井先生が設計されている大津市の建て方の見学をさせていただきました。
天然乾燥のヒノキとスギを宮内棟梁と関岡棟梁による手刻みで、丁寧に加工されており色ツヤが素晴らしいです。
木造建築専攻の1年生と2年生は自力建設でまさに自分たちも通ってきた道。
興味津々でプロの仕事を間近で見ています。
手刻みならではの「シャチ栓継ぎ」や「追っ掛け大栓継ぎ」なども高い精度で随所にみられます。
特に気になったのは、長ほぞ+込み栓の加工。
斜めのひし形形状になっています。
ほぞの先端に切り込みをいれ、引き抜きがかかると、ほぞが拡がって抜けにくくなる宮内棟梁が考案された粘り強い仕口です。
柱上部は、屋根や断熱材の荷重で引き抜きがそこまで大きくないため、金物などが必要なく、このような仕口で対応されてました。
しかも気密性能をとるために、コーキングを少し入れて込み栓を打つとか・・・。伝統的な工法に現在の知見が融合されたつくり方です。
このあとは、柱には3段の貫を通して、伝統的な竹小舞+両面土壁を施工していきます。
さらに外側には、断熱材として国内の玄武岩から加工したストーンウール150kg/m3が屋根、外壁、床に入ります。
この土壁とストーンウールで、防火的にばっちりです。
土壁+伝統工法でもしっかり断熱等級6が確保でき温熱性能もしっかり確保されていました。
何より、現場で動いている職人さんがみなさん活き活きとされている姿が印象的でした。
誇りと自信を持ってこの住まいに関わっていることが感じられます。
誇りと自信を持ってこの住まいに関わっていることが感じられます。
このような素晴らしい建て方の見学の機会を得られたこと、ありがたいです。
また、近くにあった守山市立図書館と守山市役所にも寄ってきました。
特別招聘教授で建築家の隈研吾さんが設計された建築です。
特別招聘教授で建築家の隈研吾さんが設計された建築です。
内装木質化されており、木の柔らかい雰囲気を感じます。
図書館は、高校生や一般の方が落ち着いて読書されており、市民に愛されている施設だなと感じました。
守山市立図書館の天井には、板が貼り込まれ、一部垂直に立てられた板によって、面積(コスト)を抑えながら木質感たっぷりに仕上がっています。
守山市役所では、斜めに板を張ることで空間に動きが出て、図書館とは違った効果が生まれています。
空間や香り、光の変化など、書籍ではわからない貴重な体験ができました。
実際の素晴らしい建築に触れることで、改めて建築の魅力が感じられる一日でした。
教授 辻充孝