釧路からはるばる来校
はるばる釧路から学生24名と教員の方がアカデミーに来校されました。
釧路工業高等専門学校では、なかなか木造建築に触れる機会が少ないとのことで、アカデミーの校舎や取り組みを紹介しました。
最初は定番の杉の面格子の解説。
面格子にはさまざまなメリットがあります。
一番は杉の相欠きで木がめり込む性質を利用して、耐力壁として機能します。ただ、少し緩みがあるため初期剛性はそこまで出ませんが、いくら傾いても倒壊しにくいという人命を守る性能はピカイチです。初期剛性は構造用合板でとるというハイブリッド構造です。
加えて、日射遮蔽や昼光の拡散、適度な視線遮蔽、通風、飾り棚の機能と、デザインに加え様々な機能を持たせてあり、効果的にたくさんの木材を使用しています。
近年、木を多く使うことが注目されていますが、無駄にたくさん使用するのは間違っていると考えています。数十年かけて山で育てた材に敬意を払い丁寧に使用していきたいものです。
このような丁寧な木材利用ができる設計者を目指すための教育として自力建設があります。
自分たちで山から建築までトータルで理解して木材を使用することで、机上の設計だけでは見えてこない木材の魅力がわかります。
すでに22棟竣工している自力建設もいくつか見ていただきました。
製材も学内で行っていますので製材棟や加工棟、実験棟も見ていただきました。
さらに自力建設に使う木材は、太陽熱を利用した2003年度の自力建設「活木処」で乾燥させています。
これだけ手間をかけて準備した材には愛着がわいてきます。
丸太のまま使用している情報センターでは、木構造の可能性を見ていただきました。
丸太の軸で構造性能を確保しているため、壁面はテント生地とガラスだけです。周辺の緑の様子が室内に写り込んできます。
最後は、最新の木造建築のmorinosです。
構造、意匠、環境が一体となった建築で心地よい空間体験をしていただきました。
2時間かけて、一通り木造建築の魅力をお伝えできたかなと思います。
建築系の大学の皆さん。グループを作って連絡を頂ければアカデミーの木造建築群をご案内しますよ。
教授 辻充孝