【視察報告】岐阜県産材を使ったウイスキー樽つくり
木造建築専攻・講師の石原です。
今月初旬、高山市の「日進木工㈱」を訪問させていただきました。
(本学の久津輪先生と、北海道大学農学部の学生・OB3名も同行しました)
日進木工は、飛騨地方を代表する家具メーカーのひとつですが、
今回の訪問の主な目的は、国産材を使用した『樽つくり』についての話を伺うことです。
日本には、樽を作っている会社は5社(うち、専業は1社)しかなかったのですが、
同社では2022年にバレル事業部を立ち上げ、主に国産ナラ材を使用した樽つくりに参入したそうです。
同社の北村社長より、会社概要や飛騨地方における地域材利用の取り組み、バレル事業に参入した経緯についてレクチャーをしていただきました。
2023年から本格稼働した飛騨高山蒸留所でも同社の樽を使っているとか。
「オール岐阜産のウイスキーを作りたい」という社長の思いが伝わってきました。
(何を隠そう…北村社長ご自身が、ウイスキーの愛好家だそうです。)
同社の樽は現在、国内外から引き合いがあるそうで、ウイスキーだけでなくテキーラの樽としても試されているとか…
樽の製造工程を見学します。
製材は樽用のものを特別に集めているそうです。
基本的に柾目(一部は追い柾)を使用し、辺材部(白太)の使用はNGとのこと。
特別に集めた製材からも、樽に使用できるものは4割程度だそうです。
材料からも“こだわり”が伝わります。
日進木工では独自の品質基準を設けており、製材はかなり厳しく選別しています。
このあたりの“こだわり”は家具メーカーならではでしょうか。
なお、海外から評価の高いミズナラですが、慣例的にコナラと区別されずに流通しています。
このあたりは、今後の課題なのかもしれません。
これは水密性の試験を行っているところだそうです。
樽の作製方法については、海外の樽を購入し、徹底的に研究したそうです。
寸法精度へのこだわりが強く、まさしく『家具メーカーの樽』といったところ。
飛騨家具の伝統である『曲げ木』の技術も応用しています。
特製の治具に、同行した学生も「かっこいい!」と歓声をあげていました。
帯鉄を嵌めるところも見学させてもらいました。
この専用の機械も実は岐阜県製(!)です。
樽のチャーリングの程度は4段階に設定しており、オーダー先の要望に合わせて実施しているそうです。
見学後、社長を囲んで記念撮影。
半日間、『樽つくり』に関わる技術を余すことなく見せていただきました。
ご多忙の中、案内していただいた社長はじめスタッフの皆様に、改めて深謝いたします。
余談ですが、私も実は…
過去の一時期、うっかり月給の大半をウイスキーの収集に注ぎ込み、
各種ローンの返済に頭を抱えた過去があるほど、ウイスキーを愛して止みません。
(最近はスコッチウイスキーが高騰してしまったので、買い控えていますが…)
オール岐阜産のウイスキー、
懐が温まってきたら(いつの日になるやら)、是非とも嗜んでみたいと思います。
講師 石原 亘