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2024年08月15日(木)

朽ち木に花が咲く

木造建築専攻・講師の石原です。

過日、運動不足の解消を目的に、旧中山道をウォーキングしてきました。

旧街道の雰囲気が残る場所が多いのは、岐阜の魅力の一つだと勝手に思っています。

その折に、大湫(おおくて)宿の「大湫神明神社」に立ち寄りました。

ここにはかつて岐阜県の天然記念物であった「大湫神明神社の大スギ」という巨木がありました。

幹周り11メートル超の巨大なスギだったそうです。

地域の人々に親しまれたこの巨木ですが、2022年の豪雨の際に倒木してしまいました。

(なお、倒木までにも何回か枯死しそうになってはいたようです)

今では、樹幹の一部を再利用したモニュメントが鎮座しています。

余談ですが、この大スギは樹齢1300年と伝えられていたらしいのですが、倒木後に学術調査をした結果、樹齢670年だったことが判明したとか。

とはいえ、巨大なことには変わりありません。

モニュメントいえども、その威容を実感することができます。

倒木前にお目にかかりたかったものです。

 

「大湫神明神社」に参拝した後、南に4キロほど歩き,

JR釜戸駅の近くにある「カマドブリュワリー(㈱東美濃ビアワークス)」を訪問しました。

暑かったので、水分補給です(※勤務日じゃありませんからね、念のため)。

こちらのお店のカウンターに着目してみます。

年輪間隔の狭さに驚かされますね(比較のために10円硬貨を置いてみました)。神代スギの貫禄です。

実は、かの大スギより得られた製材をカウンター材として使用しているそうです。

枝の部分から得られた製材だそうで、ちょっとアテが多めなのですが、それもまた良い味を出しています。

 

さてさて、場所と時系列はシフトしますが、

先月の休暇中に瑞穂市の銘木ショールーム「板蔵ファクトリー㈱」を見学した時のことです。

倉庫にて、圧倒的な迫力の天板(…にしては厚すぎますね)を見つけました。

もうお分かりかとは思いますが、これもかの大スギから得られた製材だそうです。

オブジェになるのか、机になるのか分かりませんが、大切に保管されています。

伝聞なのですが、製材された大スギの一部は、このほかにも楽器(ギター,太鼓)や机などに使用されたそうです。

探してみれば、県内の至る所にその息吹きを見出せそうです。

ここまで岐阜県民に愛されている木も珍しいのではないでしょうか。

 

「朽ち木に花が咲く」という故事があります。

大スギは朽ちて倒れてしまいましたが、

生まれ変わって、多様な場面で変わらずに愛されているようです。

 

講師 石原 亘