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2023年08月10日(木)

暑い夏の天井は何℃?(自力建設のウッドファイバー断熱材の効果)

今年の夏は暑い日が続いています。
美濃市も7月27日に39.2℃を記録。その後も35℃を超える真夏日が続きました。

2022年度の自力建設「丁稚基地」は暑さ対策のために天井にウッドファイバー断熱材(シュタイコ デュオ)を施工しています。

ウッドファイバーの施工の様子はこちらのブログを参照

どの程度効果があったのか実測してみました。

実測日は2023年8月8日11:00前後。晴れで気温は34.1℃。暑いです。

さて屋根の表面はどのくらいでしょうか。
日射は屋根に当たって熱に変わりますので、気温よりも高くなります。
サーモ画像の見方ですが、右に温度スケールがあります。白い部分が50℃以上の温度、濃い青(黒)が25℃以下を示しています。(このブログ内は全て同じ温度スケールです)

直射日光の当たった南の屋根表面は64.5℃、南の外壁は45.5℃、手前の地面は47.7℃です。
地面は土の熱容量と水分の蒸散によって屋根ほどの高温にはなっていませんが、それでも外気温+10℃以上になっています。

では丁稚基地の天井はというと増築部分(手前の白い天井)と既存部分(奥の杉板の天井)で温度が異なります。
手前の増築部はウッドファイバーが60mm、奥の既存部は無断熱(空気層90mm)です。

ウッドファイバー断熱材が入っている部分の天井温度は33.2℃です。(外気温34.1℃)
閉め切っていたので、朝の冷気がまだ滞留しているのか外気温より低かったです。
既存部は、36.8℃と、断熱部よりも3.6℃高くなっています。
3.6℃差というと1枚服を羽織るかどうかの温度差。天井が低いこともあり体感的は暑く感じます。

それでも、室内に入ると暑すぎることは無く、普通に過ごせます。
倉庫として、なかなか良い温熱設計です。

 

2003年の自力建設 木材乾燥庫「活木処」(無断熱、通気層あり)のサーモ画像も見てみます。

木材乾燥のために屋根の通気層から強制的に太陽熱を送り込んで室内を暖めていますので、全体的に黄色(38.5℃)で均一化されてます。

いい感じで太陽集熱が動いていることがわかります。

 

では、無断熱の天井面はどこまで暑くなるのでしょうか。

森の情報センターの天井(無断熱・OSB合板のみ・空気層なし)を撮影してみました。

天所面温度は49.0℃です。丁稚基地の既存部(空気層あり)よりさらに10℃以上も高温になっています。
屋根外部の熱がかなり入ってきていることがわかります。

 

製材棟の屋根(無断熱・木毛セメント板のみ・空気層なし)も撮影しました。

天所面温度は44.0℃、鉄骨部分は50℃を超えています。

 

しっかり断熱されているmorinos(セルロースファイバー240mm)も見てみます。

この日は休館日ですが、午後からイベント予定で室内で緩やかに冷房を使用していました。
表面温度全体に温度ムラがありません。天井面温度は、30.9℃です。

 

夏の日差しは非常に強く、日差しが当たったところは一気に高温(70℃以上になることも多いです)になります。
一方で、夜間は外気温くらい(30℃以下)まで下がったりと温度変化が激しいです。

これらの温度変化を安定させるのが断熱材です。

自力建設で使用したウッドファイバーやmorinosのセルロースファイバーはグラスウールに比べて熱容量も大きく、短期間の温度変化を上手く吸収してくれています。

木造建築倉庫として建設した「丁稚基地」は暑さ対策のため、屋根だけ断熱を入れています。
この断熱がちょうどいいくらいに効いていることが確認できました。

教授 辻充孝