「栞」学長プレゼン 自力建設2024
皆様こんにちは、2024年度自力建設棟梁の銭です。
公開プロポーザルコンペから1ヶ月半が経過し、7月17日に学長プレゼンも行いました。 当日は、紀子さまがアカデミーにお成りになりました。
一歩一歩進んでいく中で、施主ヒアリングから中間発表に至るまで、先生や学生の皆さんのご協力のもと、自力建設プロジェクトは基本設計段階から実施設計段階へと進んでいます。
未知の領域での様々な挑戦は刺激的で、多くのことを学びながら、緊張感と楽しさに満ちた時間を過ごしています。
中間発表では十分に説明できなかった部分もありましたので、ここで改めて設計コンセプトについて少しお話しさせていただきたいと思います。
まずは「栞」という建物名についてもう少し詳しくお話します。
「栞」という漢字は「木」と「干」の二つの要素で構成されています。
これは木を干すという意味があります。次に、「栞」の意味は「木の枝を折った道しるべ」という意味を持ちます。
乾燥庫の敷地は製材所側の入り口から進むと、学内の主要エリアとmorinosエリアの分岐点に位置しており、道行く人々を導く、しおりのようにも道標のようにも、帰り道を示す標識のようにも見える建物となります。
最後は、「旅行の栞」という使い方をするように、この一年間の挑戦的なプロジェクトが、木造建築専攻の1年生にとって木造建築の世界へのガイドとなり、記憶に残るマイルストーンとなることを目指します。
次に、設計コンセプトについて3つの部分に分けて詳しく説明いたします。
- 普及性・flexible– 基本の乾燥庫をかたちづくる –
普及性を考慮した基本の乾燥庫の設計では、乾燥に必要な温度と湿度環境を確保し、乾燥容量を選択できるようにし、乾燥庫内の状態をモニタリングできるようにすることが重要です。また、つくりやすく普及しやすい設計を目指しています。
- パッシブ– 自然の力を利用した乾燥庫にする –
パッシブ設計を取り入れた乾燥庫では、自然の力を利用することを重視しています。具体的には、太陽光エネルギーによる集熱方式、透湿性を活かした電気を使わない除湿方式、そして多湿時に自動で開閉する換気口を採用しています。
- 「楽」– 予算に応じた、利用者の負担を減らす工夫をする –
楽をテーマにした設計では、予算に応じて利用者の負担を減らす工夫を行っています。具体的には、手運びを前提とした横置き収納を採用し、チェーンブロックによる運搬補助やレール式移動棚などのオプションにも対応しています。
プレゼン後、学長からのアドバイスをいただきました。
丸太材の乾燥空間を考えること、冬の昆虫対策(カメムシ)、換気口の設置について提案してくださいました。
これらのアドバイスを基に、今後の設計に反映させていきたいです。
現在、透明材料の比較実験を行っています。
結果が出次第、皆様にご報告いたしますので、どうぞご期待ください。
木造建築専攻1年生 銭