「樹の人たちのぽいぽい材で森を盛り上げるものづくり」イベント報告 ③ものづくり編
5月18日(土) ~ 19日(日)に行われた「樹の人たちのぽいぽい材で森を盛り上げるものづくり」イベント報告 ③ものづくり編 です。
ぽいぽい材ワークショップの前回までのブログはこちら:①森づくり編 ②製材編
製材のパートが終わると、モノづくりのパートです。ここからの進行は、今回ご協力いただいた“ちょうどいい材木ラジオ”と“VUILD”のメンバーの方々にバトンタッチです。
まず、参加者のみなさんには、VUILDさんが日本の輸入代理を務めているCNCルータ“SHOPBOT”や“EMARF SCAN”などデジタルな木工体験からです。EMARF scan(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000031751.html)で根曲材の板材の外形線をデータで取り込む体験をしました。その後、SHOPBOTで切り抜かれた「木」と「き」の文字の形をしたオブジェをやすり掛けしながら、参加者同士が交流していきます。そして、場が和んできたころ、いよいよ今回のイベントのお題に移ります。
「10年後の理想の森は何ですか?」
参加者一人ひとりが将来の森林林業の前向きな妄想をします。大人になると10年の歳月はあっという間ですが、振り返ると意外と社会の変化や技術革新によって、案外私たちの暮らしや価値観はけっこう変化しているものです。「もしかしたら10年経ったらできるかもしれない」そんなワクワクを抱きながら、参加者間でお互いの理想のビジョンを共有し、近い想いを抱く仲間を見つけ、グループを編成していきました。
それでは、この先はグループワークになります。2日目の午後に理想のプロトタイプを発表することを目標に作業を進めていきます。SHOPBOTをはじめ各種機械や工具を使って、ぽいぽい材から試作品を作るも良し、新しいシステムや制度を考案するのも良し、発表の仕方は自由形式に設定しました。とはいえ、どのグループもぽいぽい材を使って試作品を作ることになりました。そりゃあ、皆さん、簡易製材機やSHOPBOTを目の前したらに何か作りたくなっちゃいますよね。「伐って、挽いて、創る」その一連の流れをその場ですぐ出来てしまうのが、このイベントの真骨頂でもありますから、運営側としてもうれしく思うところです。
参加者のみなさん、ぽいぽい材を見て選んで、理想の試作品を描きながら、簡易製材機で板を挽いたり、工作機械や電動工具、そしてSHOPBOTを駆使して製作をしていきます。参加者全員がものすごいスピードで作業していくので、製作補助をするスタッフもフル稼働です。
いざ、発表が始まると、どのグループの発表も歓心と笑いに包まれていました。
慌ただしくも限られた時間の中で作業したのにも関わらず、斬新で中身がぎゅっと詰まった濃いものに仕上がっていました。今回の参加者は、木工や建築関係のクリエーター系以外の職種の方が割合的に多かったことを考えると、どのグループもこの短時間でよくぞカタチにできたと思います。見事なほどに大人のグループワークの底力を見せつけられました。
ここでワークショップに参加した林業専攻2年の梅村より、「10年後、林業をこどもの憧れの職業No.1にする!」チームの内容を紹介します。
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チームリーダーである林業従事者のいっしーさん(参加者同士をあだ名で呼びあっていました)の熱意に共感し、このチームでワークショップに参加しました。
こどもが憧れる職業になるためには、安定した待遇が必要不可欠。そのためには林業をどう変革する必要があるのか、と有名林業地の山主さん・他地域の林業学校の学生さん・アカデミー学生2名の多様なチームメンバーで夜な夜な熱く語り合いました。その熱い時間を経て発表内容を思案し、翌日思いついたのは「森林戦隊 モク(木)レンジャー」。林業のすばらしさ、林業従事者のカッコよさを、戦隊ヒーローを通じて子どもたちに伝えようと一致団結しました。今回のテーマであるぽいぽい材で武器を製作することで、林地残材を活用でき、また親御さんもグッズを買わなくても山に行けばあるじゃん!と一石二鳥です。素敵なストーリーも考えましたが、長くなるためここでは割愛します。
川上メンバーのみのチームのため、皆で初めて板のモルダーがけを行い、板がきれいになっていく過程に感動しました。また、SHOP BOTでモクレンジャーのお面を作り、アイデアをその場で形にできるSHOP BOTの素晴らしさを肌で感じることができました。
川上のメンバーが普段行うことがない木材の加工を体験することで、立木の見方が変わり、また自分たちにも加工ができるという、これからの林業の可能性が広がったのではないかと思います。
今回は参加者の皆様の主体性に委ねるという難易度の高いワークショップではありましたが、参加者それぞれの気持ちや理想の姿を共有しひとつの形を作るという作業を通じ、これから森林林業に前向きに関わる糧を得られました。
チームメンバーの皆様、そして温かく発表を聞いてくださった皆様、ありがとうございました!
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今回のイベントでは、一見馬鹿げているようなことをテーマに掲げながらも、大人達が真剣に取り組む姿がありました。でも、これが10年先の理想のはじまりの日なのかもしれません。本当に10年後実現していることもあるかもしれません。参加者の皆さんは、このイベントでそれぞれの理想を応援してくれる仲間を見つけられたのではないかと思います。
最後に、今回のイベントにご参加いただいた皆様、遠方からもお越し頂き誠にありがとうございました。そして、協賛頂きましたVUILD様・ちょうどいい材木ラジオ様、多くのお力添えに深く感謝いたします。
また、近いうちに今回のような森林文化アカデミーだからできるイベントをやりたいですね。そして、参加者の皆さんは、数年後のオフ会で再会しましょう。
森と木のクリエーター科2年 木造建築専攻 増岡