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2024年07月09日(火)

うだつの上がる町並み見学

エンジニア科一年生の「木造建築の現場へ」の授業。

これまで、この授業では森林文化アカデミー校舎や自力建設などの実際の建物を見てきましたが、最終回は国の伝統的建造物群保存地区に選定された「うだつの町並み」を見学してきました。

案内いただいたのは、今井家住宅の館長の古川さん。

森林文化アカデミーのある美濃の歴史をお聞きしました。

古城山が有名だが、誰のお城?、関ヶ原の合戦でこの地を得たのは誰?など、ウイットに富んだ話し方で学生を引き込みながら話されました。

続いてうだつの経緯。

うだつは火災に対する防火壁の役割があるが、火災を止めるわけではなく、火事の進行を遅く(当時は板屋根が主流)してその間に貴重な物を持って逃げる時間稼ぎの要素も大きいこと。

さらに、広い道路幅で向かいの火事の延焼を防いだり、番水と呼ばれる水路を巡らせて火災対策をしていたことなど、街づくりの”なるほど”をいろいろ知ることができました。

今井家の建物のつくりを見た後は、猛暑のなか町中に繰り出します。

話をお聞きしてから改めてうだつを見ると、いろいろ見えてくるものがあります。

今井家の古いうだつは機能性を重視して装飾はあまりありませんが、近年に従って、どんどん豪華になっています。

うだつで火事の進行の時間稼ぎするくらいなので、貴重な品々を持っていることから、お金持ちの象徴としての効果も出てきているのでしょう。

一か所だけ、2列に並んだうだつも。
通常は、1列だけのところ全国的にも珍しいルール破りな建て方。
どうしてもうだつを上げたかったのでしょうか。

アカデミー学生が学ぶ美濃市の歴史や町並み、木造校舎のことなど、知れば知るほど、様々な工夫や経緯で成立していることを実感していただけたのではと思います。

普段生活しているだけでは気をとめないことも、少し観察することで、なぜこうなっているんだろうと新しい気づきが生まれます。

教授 辻充孝