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2024年05月22日(水)

夏の虫、氷を笑う

本年5月より、森林文化アカデミーの教員として働いている石原です。

私は、こちらに赴任するまで、かれこれ20年近くを北海道で過ごしていました。

岐阜県と北海道とでは、気候はもとより、山野の樹木、流通している木材(樹種、製品)すべてが大きく違います。

しばらくは、外国に来た気分を纏いながら勤務することになりそうです。

先日、岐阜県森林研究所の研究員の方と、県内の企業(製材所、木材市場)の視察を行ってきました。見るもの触れるもの、そのすべてが新鮮だったのですが、中でも驚いたのは原木(丸太)における虫害の痛切さです。

この時期(4~5月)はキクイムシ類、これからの季節(6~7月)はゾウムシ類の被害が多いとのこと。

「この時期は多いよねえ、悩ましい」と、業界の方々の声。

とにかく、(特にこの時期は)土場に置かずに速やかに製材・乾燥することを心掛けているそうです。

後日、アカデミーの敷地内にストックしている原木を改めて観察してみたのですが、やはり虫害の多いこと・・・。

 

北海道でも原木の虫害がないわけではありませんが、シロアリ被害も含めて本州ほど深刻ではないように思います。

さて、「夏の虫、氷を笑う」という諺があります。夏しか生きない虫は氷の存在なんて知らない、といった意味で、「井の中の蛙大海を知らず」と同様のニュアンスなのですが、虫に侵されている丸太を見ていると、この言葉が頭を過ります。北海道に住んでいたので、「氷を笑う」ことはありませんが、「夏の虫」を笑っていた気もしています。

これからも、木材産業に関わる県内のあらゆる工場(事業者)に足を運び、自身の知見を上書きしていかないと、・・・と思った次第です。

 

木造建築専攻 石原