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2024年05月14日(火)

木と土と岩でつくる家

大津市で建築された住宅の気密測定に伺いました。

設計者は、アカデミーの防火の授業でおなじみの安井先生。

こだわりの木と土と岩でできた住まいです。

構造材は和歌山で天然乾燥された紀州材(主にヒノキと小屋組はスギを使用)が使われていました。

宮内建築の関岡棟梁の手刻みで丁寧につくられています。

そして、土は防火の安井さんの得意分野。防火性能を兼ねた竹小舞下地の両面塗り土壁。2時間以上の耐火性能です。
しかも、この土は古土の再利用。古畳の藁スサを混ぜてこねると再度土壁として復活します。畳表は貫伏せに活用していました。

最後は岩?
何を思い浮かべますか?

実は玄武岩(福島産)を溶かしてウール上にした断熱材。ストーンウールです。土壁や野地板の外部に施工することで、高断熱化を目指します。

内部が見えるように外壁の焼杉を一枚外してありました。奥に見えるのがストーンウールです。

 

私も少し温熱アドバイスをさせていただいて、断熱等級6以上を確保しています。

伝統的な木と土の家ですが、しっかり高断熱化されています。気候風土と現在の住まい方にあった家です。

 

最後に気になるのが気密性能です。こればかりは、実測してみないと性能がわかりません。

いくら断熱性能が高くても気密が悪いと隙間風で不快感が増します。

今回は大工さんや職人さんにしっかりこだわっていただき中間測定時でも良い結果が出ています。

今回、学生と一緒に竣工時の気密測定に伺った次第です。

建具屋さんがつくる玄関の木製建具が気になってましたが、工事途中と変わらずの相当隙間面積0.7cm2/m2。
多くの研究者が参画して温熱目標を決めているHEAT20の団体でも北海道の厳しい寒さ条件で実験して、不快感を感じない推奨値として出されているのが0.7±0.2cm2/m2。
十分な性能です。
 
いい結果に大工さんも満足と思いきや、宮内棟梁はもっと出したかったご様子。
職人気質を見た感じです。
次はさらに進化しているんだろうな。

今回、高い断熱性能に加え、シンプルな間取りと納まり、丁寧な施工など、素晴らしい物件を見せていただきました。学生も勉強になったと思います。
 
性能だけ、素材だけと偏った建物ではなく、高いレベルでバランスのとれた強・用・美が一体となった建物でした。