自力建設2025テーマ「屋根付きチェーンソー練習場」
25年目の自力建設の課題が発表されました。
ちょうど過去の自力建設の活動が今月号の「住宅建築」という建築雑誌に掲載されたところです。
自力建設は毎年、先輩学生が学内全体にアンケートをとって、アカデミーに必要となる建築をテーマを設定しています。3月に卒業した23期建築専攻の先輩たちから後輩へのプレゼントという形です。
今年度のテーマは「屋根付きチェーンソー練習場」。
森林文化アカデミーでは、エンジニア科、クリエーター科の林業学生はもちろん、木造建築などの他専攻でもチェーンソーの実習があります。
また、緑の雇用の研修でも学内でチェーンソーの講習を行っています。
ちょうど今くらいの季節だと、涼しい風の中、気持ちよくチェーンソーの練習ができますが、夏になると大変です。
全国でも有数の高温を記録する美濃市。炎天下で長時間、チェーンソーの練習をするのは大きなリスクがあります。
また、雨が降ると予定していた実習もできなくなります。
そこで、今年度のテーマは、「屋根付きチェーンソー練習場」です。
早速、木造建築専攻1年生と計画予定地である林業機械学習棟の隣のスペースを見に行きました。現在もこの場所で多い時には20~30名ほどのチェーンソー実習を行っているとのこと。確かに遮るものがない。
今年の木造建築専攻1年生は7名。
もちろんチェーンソーを扱ったことがなく、チェーンソー練習と聞いても何をするかイメージが付きません。
それでもどんな建物になるか、ファーストインスピレーションを形にしてもらいました。
計画を初期段階で考えることで、計画地で何を読み取ったのか、何が分かっていないのかなど、今の立ち位置が明確になります。
30分ほどで考えた計画案が学生から7案+教員から2案が出そろいました。それぞれ面白い視点で考え始めています。
当然、何が理解できていないのか、注意点は何かなど、課題も見えてきました。
夕方には、想定施主である杉本先生の元で、具体的な活用内容のインタビューを行いました。
メインの伐倒練習が予想もしていなかった練習であることが分かりました。
何気なく通り過ぎていたテクニカルグラウンドに、必要スペースのヒントがあるとのことで早速計測。
さらにまだアカデミーに残っていた林業の学生さんに実際に練習風景を実演していただいました。
だいぶ練習のイメージがわいてきました。
さて、どのように、気持ちよく練習に周できる環境を提案できるかが、設計者の腕の見せ所です。
代表設計者を決めるプロポーザルコンペは5/27(火)です。
どのような計画案が出てくるか楽しみですね。
木造建築教員 辻 充孝
課題文------------------------------
■自力建設テーマ
現在、チェーンソー練習スペースが不足しており、林業機械学習棟前面やその横の駐車エリアが使用されている。しかし屋根がないため雨天時や夏場の日射により過酷な練習環境となっている。
チェーンソーの練習は学生・教員のみならず外部の研修受講者も行っており、少しでも快適かつ安全にチェーンソー練習ができる場所の確保は重要な課題となっている。
そこで今年度のテーマは「屋根付きチェーンソー練習場(仮称)」とする。
数名の学生から研修等での多人数利用を想定し、空間が拡張できることが望ましい。
また、林業で扱う道具の収納スペースが不足しているため、鍵付きの収納スペースも望まれている。
提案にあたっては、関係者へのヒアリング、課題の抽出・調整を行い、アカデミーらしい建物となるような計画を期待したい。
■必要機能
・チェーンソーが安全に使用できる空間を確保すること
・タープ等により、雨や日差しを遮る空間の拡張ができること
■想定施主
杉本 和也 准教授
■主な想定利用者
林業専攻、エンジニア科の学生ならびに教員、外部からの研修受講者
■予算
■注意事項
※鍵付きの収納スペースは必須ではなくは建築規模や予算との兼ね合いで検討すること。
※施設利用者の意見を十分に聞いたうえで計画を行うこと。
※外部の風雨にさらされることが想定されるため、木部の劣化対策を考慮すること。
※建築基準関係法令を遵守すること。
※最低限の安全性確保のため、関係法令に合致した計画であること。
※工事期間中の活動に支障がないように調整すること。
■木材
計画にあたって事前に準備している木材を用いること。
※乾燥中の木材も含めて用意された木材の詳細については石原まで確認。
150万円(予定)以内(学内から算出される木材は除く)