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2024年04月25日(木)

自力建設2024テーマ「小規模木材乾燥庫」

24年目の自力建設の課題が発表されました。
自力建設は毎年、先輩学生が学内全体にアンケートをとって、アカデミーに必要となる建築をテーマを設定しています。3月に卒業した22期建築専攻の先輩たちから後輩へのプレゼントという形ですね。

今年度のテーマは「小規模木材乾燥庫」。

木工で使用する材料は広葉樹が主ですが、演習林などで伐採してきた広葉樹を乾燥させるための場所は、簡易な仮設の乾燥庫しかありません。林業の視点からも広葉樹の利活用促進のために、小規模でも使いやすいもので、かつ庫内の温湿度をモニタリングして乾燥パターンを比較できるような乾燥庫が求められました。
熱源は自然エネルギーを利用することも条件に入っています。
今回の課題は、設計した建築を木工家や林業従事者が参考にして展開できる、普及モデルを設計・施工するもので、うまく設計できれば、木材の活用範囲を広げることが期待できます。

新入生は緊張した面持ちで課題発表を聞いていましたが、まず2003年度木材乾燥倉庫「活木処」を見学。こちらは建築用の木材乾燥倉庫で、OMソーラーを利用した乾燥促進システムを導入しています。辻先生からは「小さな工房などで長く使うにはシンプルなシステムが望ましい。自分で修理できる範囲があると良い」とアドバイス。

森林研究所所有の人工乾燥機も見学。これは灯油を使いますが、今回は自然エネルギーで提案することが求められています。

想定敷地は、構内の道路に沿った傾斜地です。

 

道路側から見るとこんな感じ。色々な案が考えられそうです。
今回のテーマをまとめた22期生の建てた収納庫「丁稚基地」の向かいということで、工事が始まれば道具の出し入れがとても楽な敷地です。先輩が見守ってくれているようです。

説明が終わったので、さっそく即日設計。一人一案考えてプレゼンしました。
乾燥の熱源をどう考えるのか。
動線が最適になる配置はどこなのか。
周囲の風景や建築物との調和。
搬入出時に車はどこに停めるのか。

などなど、考えなくてはいけないことがたくさんですね。
いよいよ始まった自力建設2024。代表設計者を決めるプロポーザルコンペは5/28です。
楽しみですね。今後のブログ更新をご期待ください。

 

木造建築教員 松井匠

 

 

課題文------------------------------

■自力建設テーマ
 2019年度建築「Cobiki」の簡易製材機を使用し、木工・林業専攻を中心とした学生、教員が広葉樹を中心に森林資源を活用した取り組みを行っている。
製材された木材は現在、木工専攻の簡易乾燥庫で乾燥されており、入りきらない木材に関しては外部に保管されている。
外部保管の木材は含水率を下げるのに時間を要し、木部が湿ることで、虫による食害や腐朽菌による被害も発生する。
また、ビニールでつくられた簡易乾燥庫は、台風による破損や経年劣化が発生しやすくメンテナンスに手間がかかる。
そこで、今年度のテーマは広葉樹を中心とした「小規模木材乾燥庫」とする。
さらに小規模な木工家や林業従事者が木材活用のために、独自に乾燥施設を展開する場合を考え、今回の建築物が小規模木材乾燥庫の普及モデルになるよう、工夫することが好ましい。

■必要機能
・自然エネルギーを使用した乾燥促進システムを導入
2003年度自力建設『活木処』、現在使用している簡易ハウスや他の事例を参考に最適と思われるシステムを考え組み込むこと。
・材に適した収納スペース
主要な材サイズは板幅300mm、板厚45mm、最大長さ2.1m
・容量4m3程度が2スペース
さまざまな乾燥状況を比較できるように、ある程度庫内のコントロールができると良い。

■留意事項
・乾燥庫内は高温になると考えられるので、夏場の作業環境に配慮すること。
・施設や機能を併設する場合は、それらに求められる安全性や性能を満たしていること。
・必要十分な規模で検討すること(大きな施設になりすぎないこと)

■想定施主
渡辺 圭 講師

■予算
 150万円(予定)以内(学内から算出される木材は除く)