棟換気(自力建設2024「栞」)
乾燥庫の屋根には屋根板と屋根断熱材の間に通気層が設けられていて、幅方向は上り梁で区切られています。
各開口部の寸法は約800(幅)×45(高さ)mmです。
通気層は、室内から通気層に移動してくる湿気を野外に放出役割を担っています。
屋根は南北に傾斜していて南側が高く、南北それぞれに開口口が設けられているので、日中の通気層の温められた空気は上昇力を与えられて南側から湿気を伴い排出されます。
この構造の欠点は、とても快適な環境を虫に提供する可能性が高いということです。
特にカメムシは隠れることが出来る今回の通気層のような狭い場所が大好きです。

(例:クサギカメムシ、体長 約15mm) 引用元:名古屋市HP カメムシ類について(2)
そこで、今回の乾燥庫は、カメムシのような昆虫の巣になるのを防ぐため、南北の開口面へ棟換気という網戸の重厚版を取り付けることになりました。
いつもながら予算の都合で、一般に売られている棟換気が高価だという理由から、よく皆さんが梱包などに使っているプラダンを加工して自作することになりました。
実際の製作作業には約30時間・人の加工手間が発生しました。治工具も作りました。
でも、厚さも高さも形も自由に設計できるので、自作のメリットはあったのではないでしょうか。
自作の仕様
商品名 |
自作棟換気 |
概観 |
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素材 |
ポリプロピレン(プラダンから製作) |
寸法/本 |
厚さ45×高さ40×幅910mm (厚さは4mm刻みで任意、高さは任意設定可能) |
価格(注1) |
約1,200円 (プラダン(1800×900mm:898円)+接着材) |
性能 |
通気孔径:約4mm |

プラダン積層用治工具と積層作業
実際に取付けてみると手作りとは思えない出来栄えとなっています。近くで見るといろいろと都合が悪い状態になっているので、遠くから眺めるだけにしてください。
北側の棟換気を取付けているときに気づいたことですが、通気口の流れが想定の逆になっていました。当初の想定では、屋根は南側が高くなっているので、空気の流れは北から入って南から出ていくはずでした。
実際には、南のポリカ面にあたって上昇してきた空気が、南側の棟換気に入って相対的に低い位置の北側通気口から排出されていたのでした。それもかなりの空気量が排出されていました。
冬のある条件で起きる現象なのかもしれませんが、それでも、空気の上昇気流の力だけでなく、周辺に起きる微風でも通気層の空気の流れを作ることが出来るのであれば、この通気層の乾燥能力への貢献度はかなり高くなると思っています。
4月以降の本格稼働を楽しみにお待ちください。
木造建築専攻学生:三宅