板金工事(自力建設2023 ほとりの櫓)
建て方の最終日に、暗くなる中なんとか改質アスファルトルーフィングまで施工していました。
今回は、その上に屋根材の縦ハゼ葺きの工事を後藤板金の水野様の指導のもと行います。
もちろん、屋根材の搬入も手運びです。
曲がりやすいので運搬・持ち上げに神経を使います。
既設壁との取り合いを考慮しながら割付を行い、屋根材をビスで留めていきます。
板金の接合部分のハゼを足で押さえながら、1番ガチャという道具で重なり部分を折り込みます。
2番ガチャで更に折り込んでやさしく締め付けます。
ローラーの1番、2番で少しずつ締め付け強度を上げて仕上げていきます。
今回の建物は既設校舎との取合いがあるので、外周部の納まりが複雑です。
既設校舎の防火壁との取合い部分は、屋根側をL型に曲げた立上りを設けて屋根の雨水が壁側に行くのを防ぎます。
既設防火壁で受けた雨水は、既設壁に付ける水切りで建物内に入ることを防ぎます。
さらに、風での水の吹き込みも防ぐために隙間をほとんどなくす形状としました。
そのため、水切りをスライドさせて設置します。
なんという職人技!!!
水下の端部の処理はしっかり折り込んでシャープに見せながら、水が下に抜けるように納めます。
しっかり折り込まないといけない難しい作業です。
ほとりの櫓の屋根形状は、上下に開いて景色がよく見える形状にしています。
下の屋根が建物内部に当たる部分は、雨水が内部に流れないように立上がりを設けています。
その立上りの上部に雨が入らないように、さらに木の建築の良さを両立した納まりにするには、 と何度も打合せを重ねました。
今回採用したのは、木笠木形状として板金を内部に見せずに木材をかぶせる方法です。
アカデミーの授業ではメンテナンス実習があり、もし雨で木材が傷んだ場合、
立上りの木笠木部分を撤去し作り替えることができる実績があるとのことで採用しました。
軒樋の取付金物を極力見せない納まりにもこだわりました。
唐草の水切り形状を工夫し、屋根と一体に感じられる位置に軒樋をつけられるようにし、
取付金物の外側から引っ掛ける形状の軒樋を設置しました。
このように、小規模ではありますが様々な納まりがある屋根で、見どころ満載です!
板金を折り紙のように自在に加工していく職人さんはとてもかっこよく、
雨の流れを意識しながら幾重にも止水の策を講じていく姿に感動しました。
自力建設で関わった職人さんたちは、どなたも素敵な方ばかりで、
改めて思い出しながら屋根工事を進めていきました。
残る工事もあと少し!?ラストスパートです!
森と木のクリエーター科 木造建築専攻1年 中村
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