壁-1GPへの道 その4
耐力壁材をものづくり大学へ運び入れ、いよいよ本番当日です。
今回のカベワンGPは、参加数12体で2日間で行われました。
会場に着くとまずは計測から。木材の重量や樹種、金属の重量、穴あけなどの加工数など細かくチェックされ、点数化されていきます。
そして順番に組み立てです。
組み立てにおいても、参加人数、組み立て時間等が点数化されます。
自力建設で培ったチームワークで難なく組み立ては完了。
試合を待ちます。
試合は前もって行われたくじ引きで決まったトーナメント戦です。
2体ずつ戦わせて壊れた方が負けで、トーナメント優勝が決まります。
試合中に加力データが取られており、そのデータから算出される耐力点と先の計測や組み立て、そして解体までを含めて総合優勝が決まります。
初めての参加でカベワンGPの雰囲気が分からずにちょっと不安でしたが、会場は予想以上の盛り上がり。
壁が壊れてゆく過程を見ながら一喜一憂。そして試合が終わると、壊れた壁を見ながら参加者同士で意見交換が始まります。
“貫3”の初戦は第2試合。
第1試合では優勝候補と目される東京大学の稲山正弘先生率いるチームが出場。
稲山先生はアカデミー校舎の構造設計者です。
強そうな壁同士の試合で、第1試合から盛り上がりを見せました。
その試合を受けての第2試合で緊張しましたが、もう出来ることはないので、あとは“貫3”壁に任せるのみです。
試合開始前に壁のアピールタイム。
アカデミーの話や壁の特徴などを話しました。
実況を担当されていた東京都市大学の落合先生から、他のチームが長ビスや雇いホゾで接合部を固定しているチークがほとんど中、ひし形込栓割りホゾは大変興味深いとのコメントを頂き、アカデミーの名を残せた思いで、これだけで出場した甲斐がありました。
初戦の相手は東京都市大学のチーム。
試合開始と共に、お互いの壁が引き合わされて壁からきしみ音が聞こえ出します。
壁からの悲鳴のようで正直気持ちの良い音ではありません。
16年ぶりの出場ですが、初戦はなんとか勝ちたいと思っていました。
その思いが通じたのか、序盤は優勢に推移していきました。
しかし、段々ときしみ音が大きくなって行き、貫の一部が破断して吹っ飛んで行きます。
そしてほぼ互角の状況へ。
お互い変形が大きく、加力装置の限界に近い変位に近づきます。
装置の限界寸前で、相手の壁が破壊。
なんとか初戦を突破することが出来、初日の戦いは終わりました。その日はチーム全員満足で、明日の試合が控えているに祝勝会をしました。
決戦の様子はカベワンGP2023のYoutube動画で、ご覧いただけます。
第一回戦の様子は、1時間20分あたりからです。
(つづく)
木造建築専攻 2年 杉山達彦