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2024年10月29日(火)

第四回 バウビオローゲ(建築生物学に実践者)の集い

バウビオロギーはドイツ発祥の総合学問で、名前の由来はBAU:建築、BIO:生命、LOGIE:学問ということで、建築生物学と訳し人を中心に据えたホリスティックな学問です。

昨年は学生と一緒にドイツ・バウビオロギー研究所にも行ってきました。

このバウビオロギーの実践者、つまり人に寄りそう住まいや建築を作っている・広めている方をバウビオローゲと呼びます。

これまで、バウビオローゲ(建築生物学に実践者)の集いを本学で開催していました。

2019年 第一回 バウビオローゲの集い
2022年 第二回 バウビオローゲの集い
2023年 第三回 バウビオローゲの集い

今回、第四回バウビオローゲの集いが軽井沢研修所で開催され学生と参加してきました。
九州から関東までのバウビオローゲの方々が全国から集まりました。

会場となった加藤山崎教育基金 軽井沢研修所は、2万㎡の広大な敷地の中に建っていました。敷地内はビオトープと散策路が整備され東屋などが点在しています。

さて、第四回 バウビオローゲの集いのテーマは「バウビオロギーに根差す改修の要点とは」です。

主旨説明として、石川先生から暮らしを軸にしたバウビオロギーの考え方を改めてお聞きしました。

さらに、2005年の日本バウビオロギー研究会の立ち上げから現在に至るまでの活動の紹介がありました。

2013年からはバウビオロギー通信講座が開講され、私も一期生として修了しています。

次に石川先生が携わられた改修建物の紹介がありました。

改修事例では表面仕上げの可能性として、木片がすき込まれた表情豊かな紙クロスに、粘土塗料を海綿で塗り付けた壁の事例です。
日本では白い壁が多く作られていますが、感性を豊かにするには表面の質感や色合いも大切な要素です。

素手で粘土塗料を用いて一般の方と一緒に塗っていく過程の中で印象的だった言葉に「手や服が汚れたりするけど自然素材を使うことで、不快感を示す方はほとんどいない」とのこと。素材の選定を大切さを改めて実感しました。

次に実践者の報告として、

坊垣先生から大きな住まいの1階部分だけ改修する部分断熱改修の事例紹介です。
断熱材で1階部分(天井も)だけぐるっと囲い、放射式の暖冷房パネルで室内環境を整えることで、心地よい改修後の環境を実現していました。
放射パネルのおかげで、設定室温も低く抑えられていました。

私の方から木遊館サテライトの2つに改修事例を紹介しました。

中津川市 ぎふ木遊館サテライト施設構想プロジェクト

高山市 ぎふ木遊館サテライト施設構想プロジェクト

どちらも、昨年度学生と基本設計に携わり、卒業生が引き続いて実施設計を行い今年度オープンしました。(中津川は8月、高山は11月オープン)

 

初日の最後は全国から集まった参加者の自己紹介と近況報告があり、活動の広さが実感できました。

2日目は、少し専門的な内容に踏み込みます。

石川先生から、版築を使った最近のプロジェクトや、住宅を改修した浄泉寺の事例紹介がありました。

改修ならではの苦労が垣間見れました。

私からは、委員としてかかわっているスマートウェルネス住宅の研究成果の報告を行いました。

その後、バウビオローゲの森さんから近年の事例紹介をいただき、少しディスカッションを行いました。

会場を移動し、古民家を軸に改修されたカルイザワ コモングラウンズに見学に行きました。2023年3月にオープン。

真ん中にある古民家を中心に鉄骨造でぐるっと囲って平屋部分を増築された建物で、非常に居心地の良い空間です。

周辺には、農園やショップも広がりゆとりのある雰囲気が漂っています。

最後に、石川先生が改修中の建物を見せていただきました。

軽井沢の斜面地に建つ築50年くらいの2階建ての建物の改修です。
ウッドファイバーを使った断熱や、柔らかい色彩計画等、竣工が楽しみな建築です。

最後は受講者全員で、オイリュトミー(ルドルフ・シュタイナーによって創造された運動を主体とする芸術)を体験して心を落ち着かせてバウビオローゲの会が終了しました。

今回も新しい出会いや学びのある充実した2日間でした。

教授 辻充孝