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2024年10月15日(火)

大工合宿「刻み・仮組み」(自力建設2024「栞」)

前回のブログでは、「番付と墨出し」までをお伝えしました。今回はその続きである「刻み・仮組み」について書いていきたいと思います。

刻みとは、丸ノコや手ノコ、鉋(かんな)や鑿(のみ)、玄能(げんのう)といった様々な道具を用いて、前回出した墨通りに木を刻み、継ぎ手や仕口を作っていくことです。

刻み作業からは、エンジニア科林産業コースの3名も加わり、9人態勢で臨んでいきます。

大工の鈴木さん、鈴村さん、森下さん、瀬尾さんの指導のもと、刻みを行っていきます。

こちらは角のみという電動工具。ホゾ穴を開けるのに使用していきます。今回の建物は斜めの柱があるため、ホゾ穴も斜めに開けないといけない箇所があり一苦労でしたが、大工さんの教えのおかげで斜めのホゾ穴も無事に開けることができました。

斜め柱には、このホゾ穴だけでなく墨出し・刻み・仮組みのどの工程においても幾度となく苦戦を強いられました……

角のみだけでは、穴の底面の角を削れなかったり、側面がガタガタになったりと荒い仕上がりになるため、鑿と玄能を使いホゾ穴をきれいに仕上げていきます。

こちらは登り梁の先端の加工を鉋で行っているところです。軒先をシャープな印象にするために、登り梁の先端に向けて徐々に細く仕上げていきます。

そして、この建物に1箇所ずつしかない、追っかけ大栓継ぎと車知継ぎといった継ぎ手の加工をしていきます。

追っかけ大栓継ぎを1人で担当してくれたクリエーター科の三宅さんが黙々と継手を完成させていきます。

車知継ぎは、現在滅多に使われない継手であり刻みができるのは非常に貴重な機会だということで、大工志望である私が担当させていただくことになりました。みんなが何本もの材を刻んでいる中、私はこの大工合宿中の刻みのほとんどの時間を車知継ぎに使ってしまいました。

私が車知継ぎに手間取っている間に、仮組みも少しずつスタートしていました。

仮組みとは、実際の現場で建てる前に、建物が上手く建ち上がるかを加工場で仮に組み上げることで確認する作業のことです。

仮組みをスタートしていくと、ホゾとホゾ穴がきつすぎたり、幅がほんの数ミリ広かったりで上手く組むことができず、ほとんどの材を鉋や鑿で微調整しながら仮組みを進めていきました。微調整はかなりの数が必要でしたが、取り返しのつかないようなトラブルはなく、無事に仮組みまで完成させることができました。

大工合宿を通して、大工さんの方々の墨付け、刻みの技術は見ていてほれぼれするものでした。私たちの作業は当然ながら遅くて、仕上がりもまだまだですが、実際の加工方法を学ぶことができ、刻みを行う際にどういったことに気を付けなければいけないのかを身をもって学ぶことができました。他にも作業がしやすい図面の書き方や通り芯の重要さといったことを知ることができたのは非常にいい経験になったと思います。

大工の鈴木さん、鈴村さん、森下さん、瀬尾さん、卒業生の坂井さん、匠先生、本当にありがとうございました。エンジニア科の皆さんもお疲れ様でした。

 

次は、現地での建て方が問題なく終わることを願うばかりです。

 

木造建築専攻1年 石岡大樹