【授業レポート】製材プロジェクト授業(PJ)2回目
製材プロジェクト授業(以下、PJ)第2回目。今回は【 C材特集】です。
森と木のクリエーター科 木工専攻1年の浅野がレポートします。
そもそもC材とは?…丸太は品質によってA、B、C、D材に分けられます。
A材は通直な原木として製材に、やや曲がっていたり小径だったりするものはB材として集成材やCLT(Cross Laminated Timber)、合板等の材料となります。
D材は主に林地残材、そして今回特集するC材は枝条・曲がり材のため、細かくチップ状にされ主にバイオマス発電用の燃料に利用されています。
原木としての買取価格は低い一方、バイオマス発電に参入する企業が増えていることから、今一番人気があるのはC材なのだそうです。
写真1 今回最初に挽いた材。立っている間に損傷をして腐ってしまったと思われる。
写真2 こちらは大きく曲がりのある【あて材】。柱や一枚板にすることは難しいため、C材とされる。
今回用意された材について説明を受け、早速実際に挽いてみます。
その前に、前回のレポートにもあったように、製材機は作業前にきちんと点検することが大切です。刃先速度は時速150kmにもなるとのことで、何か異常があれば大きな事故にも繋がりかねません。挽く前に刃物に亀裂などの異常が無いか十分に確認します。
写真3 刃が欠けていたり亀裂が進んでいると、挽いた材に筋が入る。材も確認するようにするとよい。
写真4 短い時点でも曲がっているのがわかる。林業現場の判断で、大きな曲がりがあったものを伐ったと推測される。
今回は製材目的ではないので、CTスキャンのように何枚か薄く挽いてみることに。
フェンスから140mm、20mm刻みに設定しますが、実際は鋸刃のあさり2mmを引いて18mmの材となります。
挽く前から少し曲がりがあるのが見て取れましたが、実際に挽いて確認してみると、無節の綺麗な板の取れる材でした。曲がり以外は大きな欠点は見られず、吉野先生曰く「建築では嫌われるかもしれないけど、家具用などにはお買い得な木だったとのこと。
写真5 節の無い良い材が得られました。まな板などにも十分使えそうです。
2本目の材も曲がりはあるけれど良い材だったので最後は40mmで挽くことに。
外から見た時点では腐りが入っていそうという感じでしたが、それがどこまで入り込んでいるかは外見では判別できません。そういった「得体の知れなさ」で人気がなくなるということは非常に勿体ないなと感じる一方で、消費者側の目線に立つと丸太で買う以上は判断基準は外見から得られるものだけになってしまうことは仕方ないのかなと思いました。
写真6 2本目。腐りは入っていましたが、使えそうな部分もきちんとありました。ちなみに、本来は末口から切るものを、元口を鋸側にして置いていたので逆目が出ています。
今度は大きく曲がったあて材も挽いてみました。
あて材は幹や枝に物理的な負担(ex.傾斜地に生える、雪の重みに耐えるなど。)がかかった場合に、それに対抗するために生じる特殊な性質をもった材の事を指します。
今回は針葉樹のため、斜面に木が生えていた場合に倒れている幹の下側から幹を支えようとする【圧縮あて】が形成されています。
余談ですが、製材する際、歪な形の材は爪の掛りが上手くいかない場合があるので注意が必要です。この日も材が動いてしまい、ヒヤッとする場面がありました。
写真7 挽く前の様子。写真の幹の下側に【あて】が生じている。
写真8 反対側の木口。【目廻り(年輪に沿った割れ)】も生じている。立木の状態で強い力がかかったことがわかる。
写真9 挽いてみると内部に複数の亀裂が入っていた。
写真10 この日は他に大きな節のある小径木なども挽いてみたが、建築や木工で用いるにはやはり難しそうだと感じる。
今回の授業では「誰がどの立場で見るかで価値も変わるという」先生の言葉が印象的でした。
林業の現場では明らかにC材だったとしても、最初に挽いたものの様に木工の材料としては必要十分なものが採れるかもしれませんし、節や曲がりの大きいものでも挽いてみたら魅力的な表情の板になるかもしれません。
「挽いてみないとわからない」というところが最大の懸念材料だと思いますが、そこをクリアして何か販売や流通方法で上手く解決できる案がアカデミー生から生まれたら嬉しいですね。木工を勉強する身としては丸太の時点で材を見極められるようになれたらと思わずにいられません。
以上、第2回製材プロジェクトのレポートでした。
森と木のクリエーター科 木工専攻1年 浅野