家具を作る『照明器具』(自力建設2023 ほとりの櫓)
木工専攻との共同授業となる「家具を作る」がスタートしました。
今回の自力建設の敷地となっている場所は、建物と防火壁に囲まれた空間となっており、階段が設置されると非常に暗い空間になるのではないかと懸念されていました。
実際に建て方を終えてみると午前中に少し日が当たる程度で、日中でも薄暗い印象を感じます。
そこで今回の自力建設における「家具を作る」の授業では照明器具を製作することになりました。
照明を作るにあたって、建物のどこにつけるのか、直接光源を見せず光量を確保するためにどのようなデザインが良いか、検討を重ねました。
木材の継手を模したデザイン案
上写真のように段ボールとコピー用紙等でスタディを行い、今回の自力建設にはシンプルなデザインの方が馴染むだろう、ということで写真1の案に決まりました。
案のスケッチ
デザインも決定したので製作に入ります。
デザインの操作はシンプルですが、ただ板を斜めにカットするわけではなく断面部分も斜めにする必要があるため、木工専攻の方々と試行錯誤しながら部材を切り出していきました。
斜めの加工をするため様々な角度のジグを使い分け、寸法を確認しながら進めていきます。
また、当初は四角形の板材で照明器具の台座を作る予定でしたが、下から見た時に可能な限り台座が目立たないようにしたかったため、形状を少し複雑なものとしました。
手作業での加工も考えたのですが、木工専攻の学生がCNCルーターを持っていたので、使用させてもらうことにしました。
デジタルデータを機械が読み込み複雑な加工でも効率よく切り出すことができます。
このように木工専攻の方々の力を借りながら、理想の照明器具が完成しました。
オイルフィニッシュのためキハダの木目も非常に美しい仕上がりとなりました。
照明上部に光源の向きを持ってきているので、天井に当たった光が柔らかく全体を包み込むように照らします。
階段を登り降りする際に光源が直接目に入らないように取り付ける高さも調整し、眩しさを感じないように計画しています。
メイン利用者である林業、環境の学生からも階段周辺を含めて明るくなった、照明がかわいい等の嬉しい言葉もいただき、とても良いものができたと実感できました。
利用者の皆さんが安全に登り降りできるようにするだけでなく、建物のコンセプトでもあるほっとリラックスできる空間に一役買えるような照明になったのではないかと思います。
木造建築専攻 山下 修平