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2024年06月06日(木)

【授業報告】木材乾燥実習

木材製品を生産する過程で重要なのが「木材乾燥」です。

木材は乾燥させることにより、軽くなるのはもちろんのこと、寸法安定性・強度性能・耐朽性などが向上します。また、乾燥工程(乾燥スケジュール)を工夫することで、木材表面に生じる割れの発生を抑えることもできます。

木材乾燥機などによって人工的に乾燥させた木材を「人工乾燥材(KD材)」と呼び、令和3年度木材需給報告書によると、現在流通している構造用木材のうち6割近くは人工乾燥材が占めています。

実務ではとても重要な木材の人工乾燥なのですが、それなりの設備(木材乾燥機)を要するため、学校教育の中で実践するのは難しい場合が多いのです(私も学生だった頃に木材の人工乾燥を行った経験はありません)・・・が!

森林文化アカデミーに隣接する岐阜県森林研究所は、木材乾燥機を有しています。

そこで、同所の研究員(田中主任研究員、中通部長)を臨時講師にお招きして、クリエーター科2年生・エンジニア科林産業コースを対象に、木材の人工乾燥に関する特別授業を行いました。

まず、木材乾燥機をくまなく観察します。実際に乾燥機の中に入って、温湿度管理のメカニズムを理解します。

本日の美濃市の外気温は29℃。密閉空間に近い乾燥機内は軽めのサウナのような環境でしたが、田中主任研究員の説明に熱心に耳を傾けます。

乾燥機の仕組みを把握した後は、実際にヒノキの製材を乾燥させることに。

製材を乾燥させると、水の抜けやすい両端の断面部(木口面)から割れが生じてきます(木口割れと呼びます)。これを抑えるために、シリコン等で木口面を被覆する場合があるのですが、その効果はいかに・・・?

検証するために、一部の製材の木口面にはシリコンで被覆を行ってみます。

最後は学生のみんなで協力して、桟積み&乾燥機に製材を入れます。

とてもチームワークがいい!これも昨年の自力建設の賜物か・・・。

木材の乾燥

木材の人工乾燥の工程(乾燥スケジュール)は寸法、木取り、目的等に応じていろいろなものが考案されているのですが、今回は表面割れを抑えることのできる高温乾燥(高温セット処理)に挑戦しました。

制御盤への乾燥スケジュールの入力も学生さんにやってもらいます。ちなみに、制御盤はボイラー室にあるため、これもまた汗のかく作業・・・。

 

今回の授業を通じて、人工乾燥にかかる手間を肌を通じて学べたのではないかと思います。

人工乾燥させたヒノキ製材が乾燥機から出てくるのは1週間ほど先なのですが、しっかりした(?)乾燥材になっているのかどうか・・・。今から少し楽しみです。

 

講師 石原 亘