里山利活用 設計ワークショップ1
木造建築専攻の一年間の最後の学びとなる総合デザイン演習が2月28日~3月3日に開催されました。
今回の課題は、デザイナーのTさんをクライアントに、1400㎡もある住宅地に隣接した山林の有効活用提案です。
この土地は現在、Tさんの親が所有していおり、海外から戻られたTさんも、つい最近そのような土地があることを知ったとのこと。
日本全国でも、権利関係が上手く次世代に伝わっていない状況は想定されますので、今回の提案がこのような土地の有効活用にどのように発展していくのかも期待されます。
2月28日(月)
初日は、敷地調査とクライアントへのインタビューから始まりました。
敷地に入ると、アベマキやコナラなどの広葉樹を中心にヒノキが一部入り込み、典型的な里山の風景が広がります。
木々の間から差し込む木漏れ日も気持ちよくいい感じです。
一方、下を見渡すと、しばらく手入れされてなかったために風倒木も目立ちます。
また樹木が密集しており、夏期にはかなり暗くなることが考えられますが、継続的に手を入れることで美しい風景を作ることができそうです。
敷地調査が始まると、敷地全体の簡単な測量に加え、敷地内の主要な樹種を落とし込んでいく作業がどんどん進んでいきます。
この辺りは、アカデミー生には手慣れたもので、樹皮と樹形から樹木同定を行っていきます。
クライアントへのインタビューは、morinosに場所を移して、いろいろイメージを伺いました。
現在思い描いている活用や予算、規模など、建築を考えるにあたって必要な事項に加え、クライアントのプライベートなことまで、根掘り葉掘り聞かせていただきました。
好きなアーティストや趣味、猫が大好きで、ふらっと旅に出たり、何かしたいとの思いでアメリカに渡ったり、、、
その中でも印象に残ったのが、「面白い」「楽しい」を何よりも大切にしていること。
この時はTさんのお友達の建築家のKさんも同席していただいて、サウナやシェアハウス、トレーラーハウスなど、面白く楽しい建築のアドバイスもいろいろいただくことができました。
さて、午後からは学生全員がそれぞれ、初回のインスピレーションをもとに1案作る作業です。
時間は3時間。
夕方には、学生間でどのようなことを考えたのかを発表しあいました。
短い計画時間でしたが、面白い構想がいろいろ披露され、お互いの学生にとっても、刺激になったと思います。
さて、今回の設計WSはここからが本番です。
3人ずつ4つのグループに分かれ、1年生と2年生の合同チームでまとめ上げるというものです。
一人作業は自分が良いと思ったらそれで進めていけばよいですが、チームとなると、どのように意思統一をはかるかが重要です。
建築は一人では作ることができません。
チームでの立ち位置や役回りも意識しつつ、しっかり自分の意見も言い合って議論する必要があります。
さっそく、チームごとに分かれてお互いの計画案の議論が始まりました。
大切なのは、お互いの計画の妥協案ではなく、長所を取り込みつつ、さらに発展させることです。
3日後のプレゼンに向けここからスタートです。
准教授 辻充孝