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2016年10月26日(水)

ドイツ サマーセミナー報告⑦(9/14午後)

9/14(Day4 続き) 

「ドイツと日本の森林に関する対話 」

引き続きCr1年本田が報告します。この日の午後はHaus des Waldesにおいて、森林や所有者に関係する各者からのプレゼンが行われました。ここでは主にドイツ側のプレゼンの中身を紹介します。

最初は「Forstkammer BW」。後日ハイン教授に質問して分かったのですが、この組織は所有者のためにロビー活動を行う組織とのこと。役員は個人の小規模所有者・大規模所有者・市町村有林からの各代表で成り、運営資金は会員費0.5〜0.9€/ha。個人の所有者は森林管理への責任感を感じているが、一方で強いロビー活動を求めているとのこと。一例で挙げられたのがマウンテンバイク利用者との衝突。ドイツでは誰もが森に入る権利はあるが、散歩をする人の安全を確保するために林内の道幅は2m以上でいけないという法律があるそうです。この2m以上をマウンテンバイクの利用者は廃止したいと行政に申立てをしたようです。今のところ行政は2m以上確保を維持。この先はどうなるか分からないとのことでした。

これとは関係ないが、「ドイツでも小規模所有者の境界線ははっきりしていないのか?」という質問に対しては、外に出ると明確なマークがある訳ではないので感情的にあそこここという議論になっていて、早く集約化したいという答えでした。

続いて「PEFC」。国際的な森林認証制度で、全世界で300milhaの認証林があり、うち半分が北米・カナダ、次に欧州、中国にあります。私は他を知らないので分からなかったのですが、0.18€/ha/年の認証コストの安さをアピールしていました。そのためか国際的にPEFC取得は増加傾向にあり、ドイツにおいてもFSC取得:PEFC取得が1.1:7.3の割合。連邦も州もPEFC・FSCの取得を呼び掛けており、スーパーやホームセンターも認証を受けた製品を積極的に扱うようになっています。一方でFSCは厳しすぎるが故に、間に挟まれた所有者によるデモの写真を見た時にはびっくりしました。

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次は「NABU」、環境保護団体のNGOです。欧州全体にNABUと同様の組織が存在します。NABUがドイツで強い理由として、1961年大気汚染による酸性雨で森林が破壊されたこと、1981年のチェルノブイリ原発事故、2011年の福島原発事故が挙げられました。

興味深かったのは、一定量の枯れ木があるべきだと呼び掛けていることです。科学的データに基づき、30〜50㎥/haで種の多様性が生まれるレベル、100㎥/haで特殊な種の棲息場所が生まれるレベルだそうです。ドイツの現状の平均は25㎥/ha、30㎥は目指してほしいと思っているが、枯れ木があるということは林業作業者などにとって危険であるという認識も持っていました。将来的に5度気温が上がることを見越して、色々な活動・呼び掛けをしている点がさすがは環境国ドイツと思わせられました。

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生物多様性のためには大径材も必要という発言があったため、「近年の製材工場の大規模化で、規格にあわない大径材の需要が減ってきているが、製材側への働きかけはないのか」と訊いたところ、「やっていない」との回答でした。林業側のみに生物多様性を要求しているようで、私には多少酷に思えました。ちなみにNABUは手をつけない森林を今の1.5%から5%へ増やしたいそうです。

最後に「Forst BW」。州が管轄する統一森林管理署です。日本の林政も知らない私にとって一番分かりにくい内容でした。ここは所有者の形態問わず関係する組織のため、多くの関係者がいて、森林利用についての多くの要求があって、とにかく一方的に決めるのではなく全員参加させて決めていくようにしているとのことでした。さすがは子供の頃から議論が得意なドイツです。

(文責: Cr1年 本田)