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2018年10月23日(火)

ドイツ・サマーセミナー2018報告6

9月20日(木)、Aグループは製材会社 Echtle・木造住宅メーカー WeverHaus の見学に行きました。

この日は、まず製材会社 Echtle 社の見学を行いました。見学した場所は人口2千人ほどの小さな村ですが、春夏–農業・秋冬–林業の兼業の一次産業が、伝統的に盛んな地域であるとのこと。

 

ドイツ南部の家々

緩やかな斜面に建てられた家

 

見学先の製材会社へ向かう途中、走行中に撮影した写真。緩やかな斜面の傾斜上に家が建てられていました…!! 日本ではなかなか見ない風景。一階部分が斜めになっていて、家自体は傾きなくまっすぐに建てられています。農家や畜産家が多いそうで、一階部分は物置など倉庫として使われているそうです。

 

製材会社Echtle社に到着

工場はさほど大きくなく、日本でも見る中小企業の工場の規模感です

 

この地域内に製材所はかつて9件ありましたが、現在は3軒ほどに減りました。社員40名で朝6時〜夜22時までのシフト制で、基本的には土日がお休みとのことでした。主にモミ(8割)・トウヒ(2割)の割合の大径木材を扱っており、製材から加工までの作業を行なっています。丸太はフォレスターを通して、州の森林所有者と事前に契約して仕入れているとのこと。仕入れた丸太は1〜5の5等級に仕分けされ、等級ごとで、床などの板材・家具・集成材などに使い分けるそうです。

 

丸太の表面に見られる凹凸は、自動の皮むき機の刃で樹皮を剥ぎ取った跡です

樹皮を剥ぎ取った後の丸太が山積みになっています

 

丸太の樹皮は全て、製材前に自動の皮むき機で剥ぎとりますが、年間16,000トンほど出る大量の樹皮は、バイオマス燃料として利用して熱を作り、材の乾燥機の稼働に当てているほか、発電した電気を地域の病院やホテル、180軒ほどの家庭に販売供給しているそうです。バイオエナジーの利用を取り入れることで、丸太から製品を作ることだけに留まらず、その工程で発生した資源の無駄を限りなく無くし、木材資源が余すことなく利用されている印象を受けました。

 

製材機に使われる帯のこ。刃のメンテナンスは社内で行なっています

メンテナンス専門の技術者さんが、刃の欠けなどを1つ1つ目視で丁寧に確認

集成材の接着作業を行なっているようす

製材した板のストック。実は日本向けの輸出品。おわかりですか?「TOBA」…? とば?

 

扱っている樹種の中で、モミは屋根材や床材、家具材、日本向けのお墓にたてる「塔婆(とうば)」の板にするとのことでした。トウヒはヤマハピアノのパーツなどに利用されるとのことで、日本向けの販売が意識されていました。

 

日本に出荷した「板塔婆」。お寺さんからお礼が届いていました

 

材の輸出割合は30%で、輸出先トップはやはり日本とのことでした。毎月のように日本の関係者が交渉などのために会社を訪れるそうで、社長さんも「日本は信頼のおけるパートナー」と仰っていました。

バスで移動し、木造建築のハウスメーカー「WeberHaus」を見学しました。

こちらはドイツに木造の住宅を普及させた第一人者のような会社です。

 

本社エントランス

Bad Wildbadの風景

 

上の写真のように、歴史的にドイツではレンガ造やRC(鉄筋コンクリート)造住宅が多い印象です。しかし、そんな中で1960年代にこの会社の創設者であるWeber(ウィーバー)氏は、「木材を利用した住宅を普及させることで、地域の木材資源を活かしつつ、地元の大工や建築業者を活躍させて地域発展に貢献したい」との思いで、木造の家の建設を始めました。耐久性等、木造であることに不安を抱く人も多く、初めは1軒、2軒ほどの需要でしたが、次の年には4軒、5軒と次第に需要が増えていき、本格創業を開始しました。1970年には増加した需要に対して工場1軒での対応が間に合わず、北ドイツに第2工場を建設しています。

現在、社員は総勢1000人ほどで、工場内では100人ほどの作業員が働いているとのことでした。工場内は撮影できませんでしたが、会社の敷地の公園のショールームを見学できたので、そちらの写真を紹介します。

 

様々な形のタイプの家が6〜7軒展示されていました

キッチンの写真

壁や柱、梁などはほぼ集成材で作られています。綺麗な白基調の内装

 

壁や天井、柱で“木を見せる”というような意識はそれほど無いようで、木質の家具で木を強調している印象でした。

間取りは、実用的で広々としているイメージ。キッチンにドアがついている家もあり、料理をするためだけのスペース、リビングはくつろぎ専用のスペースというように、間取りが機能別の環境に仕切られて整っている印象を受けました。

 

2階の様子。光がよく差し込み、空間が広くとられています

 

開口部が大きく、より明るい光を取り入れている感じ。窓の外からは緑がよく見えるように、庭も手入れされている印象を受けました。家によっては庭にテラスやミニプールもついており、休日にはテラスでおいしいビールをのんびりと楽しむ風景も想像できました(ゴクリ…)。ドイツ住宅全体のイメージとして捉えて良いものかはわかりませんが、住宅は「のんびり」とか、「居心地の良さ」という点にかなりこだわって造られている印象を受けました。

 

エンジニア科2年 小野寺