狩猟採集と日本の食文化~里山インキュベーターいびがわ(第5回)
里山インキュベーターいびがわ2016年間講座の5回目(12月11日)は、揖斐川町谷汲の岐阜大学「狩猟採集文化研究所」で山口未花子先生(岐阜大学助教、同研究所代表)を講師に「狩猟採集と日本の食文化」と題してビジネスカフェを行いました。
今回はカフェの前に特別にエクスカーションを行い、研究所周辺の森で獣害捕獲のために罠を設置している現場を見学し、くくり罠の仕組みと扱い方についても学びました。皆さん、その威力にびっくり。
カフェ本番では文化人類学がご専門の山口先生から、カナダ北極圏のユーコン準州に住む先住民カスカ族の狩猟方法のスライド解説、さまざまさまな動物の肉・毛皮・骨の利用方法、さらに動物と人の関わりの精神文化など幅広く講義していただきました。
日本人の肉食文化の歴史や意識の変遷についてもお話がありました。縄文時代はむろん狩猟採集文化ですが、仏教の伝来や農耕の発達とともに肉食の禁忌が広がったこと。しかし各地の神事や庶民の生活には脈々と肉食の文化が続いてきたことなど興味深いお話がいっぱいでした。
カスカ族のハーブティーと事務局提供のフェアトレード・コーヒーで小休憩した後は質疑を行いました。多くの日本人にとって馴染みのない狩猟という行為や野生動物との深い関わりについてこれを機会に少しでも距離が近くなると良いですね。古民家を利用した「狩猟採集文化研究所」に参加者スタッフ合わせて28人が入る満員御礼でした。
担当: 嵯峨創平(揖斐川町駐在)