地域の作法を学び、里山起業を構想する
8月18日〜20日まで揖斐川町北方地区の「星ふる古民家」を会場に、2泊3日の合宿形式で「里山インキュベーターいびがわ2017」第2回を開催しました。受講者スタッフ10名ほどで地区の共益作業(観音様の清掃草刈り)に参加してお手伝いし、夏野菜の収穫や保存食作りを教えてもらいながら「地域の作法」を学び、最後はそれぞれの「里山起業」への思いを形にするワークショップを行いました。
1日目
翌朝から始まる「共益作業」に備えて参加者スタッフは夕方から会場の古民家に集合しました。初日はコーディネーターの神田浩史さんから「地域の作法を学ぶ」意義についてオリエンテーション、そして各人の背景や参加の動機を自己紹介しました。神田さんは海外で国際協力やNGOプロジェクトに長く関わってきた経験から、政府ベースの地域調査がしばしば地域の実情や住民の思いとずれること、住民の本音は会議室ではなく共同作業の合間に交わされるふとした呟きの中に表れることを語られました。それは日本の農山村でも同様だと思います。
ここで反原(たんばら)集落の隣人であるHさんの奥様が、地元の食材を使った夕食を届けてくれました。Hさん夫妻も10年前に移住してきて今では集落で2軒しかない子どものいる家の若奥さんです。その味の多彩さと盛り付けのセンスに一同感激!一気に懇親会が盛り上がりました。
2日目
自治会の共益作業で地区の観音様の境内を草刈り清掃する作業に参加させて加いただき、経験者は草刈り機を、初めての人は手鎌の作業や片付けの作業に汗を流しました。自治会の皆さんの動きの丁寧で早いこと。こうして夏草の繁茂から暮らしの環境を守る作業が毎年繰り返されるわけですね。受講者もそこのことが実感できたのではないでしょうか。
昼前から午後にかけては、Mさんの畑で「青柿」をもいで隣町の柿渋工場に搬入する仕事のお手伝い、さらに「夏野菜」ナス、オクラ、シシトウ、ズイキ、トマトなどを収穫させてもらい、簡単な保存食の作り方(ズイキの甘酢漬け)を教えていただきました。働き者で料理上手のM子さんの手際が見事でした。夕方は温泉に入って疲れを癒した後、皆で自炊で夕食を準備しました。昼間に分けていただいた夏野菜をふんだんに使った料理から、冬場にいただいて冷凍しておいたシカ肉のBBQまで、盛りだくさんで豪華な「宴」になりました。
3日目
最終日の午前は「里山起業を構想する」をテーマに、嵯峨が講師ファシリテーターを務めて進めました。都会のベンチャー起業とは資源や環境が異なり、地域づくりボランティアの活動とは事業手法やスピート感が違う「農山村コミュティビジネス」という形態をどのように位置づけ構想していけば良いのか、基礎知識を学びました。
その上で、一昨日からの体験と学びを踏まえて、各人が「対象とする人たちの困りごと✖︎自分が保有する技術やアイデア➗活用したい地域資源の量や状況」という公式から「お困りごと解決にどんな貢献ができるか」について、一つ一つ2人1組でインタビューをし合いながら整理を行い、最終的には個人作業でまとめて発表をしてもらいました。第3回の特別講師で登場するアントレプレナー(起業者育成)教育の専門家である愛知学院大学の鵜飼宏成先生も発表に同席されて、次回のステップである「生業づくりの社会実験」に向けたコメントをいただきました。
中身ぎっしりで、頭も体も(ついでにお腹も)いっぱい刺激を受けた2泊3日の合宿講座でした。ご協力いただいた反原地区の素敵なタレントの皆さま!ありがとうございました。10名グループの力で集落の方々との関係が大きく膨らみ、会場の古民家の活用方法と課題について新たな局面が見えたことも収穫でした。第3回は10月21日(土)〜21日(日)の1泊2日で行いますので、ご希望の方はこちらからお問い合わせください。
担当教員: 嵯峨創平(揖斐川町駐在)