和ハーブから見る森林文化「山村資源活用演習」
1泊2日の演習を実施しました
フィールドは揖斐川町の伊吹山麓に位置する春日地区です
伊吹山(1,377m)は太平洋側と日本海側の植生の境界にも位置し、石灰土壌に豊富な植物相が見られ、古来より霊山としての信仰を集める一方で「薬草の宝庫」とも言われていた地域です。
このフィールドでの今回のテーマは【薬草文化】
現地ではkitchen marcoを営む藤田絹美さんの指導のもと
薬草の採取を行います。今回のお目当ては「ドクダミ」「ヨモギ」「キンミズヒキ」の3種類です。ここで?と思うような場所ですが、よくみるとわんさか生えています。
しばらくすると、畑の法面の草刈りが始まってしまうそうですべて伐られてしまう、その前に草刈りと薬草の採取を兼ねているとのことです。
かつてはこの地域には数件の家があり、炭焼きなどの山仕事・薬草取り・茶畑で生計を成していました。地域にとって薬草は医薬品もなく、医師もいない時代に【自分を守る為】にとても大切な植物たちだったと言います。お爺さんっ子だった藤田さんは6歳頃から祖父について薬草採取をしており、麓に暮らす子供たちにとっても薬草を収穫するのが夏休みの宿題だったそうです。
2日目は
2班に分かれて採取した薬草を加工する工程を体験させて頂きました
前日に収穫した「ドクダミ」を乾燥させるために、傷んだ部分を取り除く・長さ毎に仕分ける・5本程度で括る・洗う・扇風機にあてて水気を飛ばす。
もう1班は
同じく前日に採集した「ヨモギ」の乾燥工程を体験します。こちらも乾燥させる為に、傷んだ葉を除きつつ適当な本数にくくり直します。同時に既に乾燥した「ヨモギ」を押し切り機で細かく刻んでいきます。乾燥すると茎が硬くなり、男性でも大変な労力だそうです。
それぞれの工程にキリが付いたら、最後に乾燥した「ドクダミ」の裁断
いよいよ商品に近づいてくる姿に、みんなの集中力も高まります
藤田さんとの交流を通じて、40年前まで営われていた伊吹山麓での暮らしと文化、自然と向き合う視点、貨幣基準ではない地域同士のつながりなど、古いけど新しい多くの「気づき」が学生にもあったと思います。
薬事法などにより、かつての文化をそのまま残すことができないが故に、新しいチャレンジを続けている姿に刺激を頂きました。kitchen marcoの皆さま ありがとうございました
報告:新津