さじフェス Sajifest2017 ①イベントへの思い
10月7〜9日の3日間、さじフェス Sajifest2017というイベントを開催しました!
生の木をナイフで削る「グリーンウッドワーク」の手法で、みんなでスプーンを作って楽しもうという企画です。日本全国からのべ140人もの方が参加して、大盛況でした。
(初日の様子は川尻秀樹副学長が報告してくれていますので、そちらもご覧ください!)
今、世界各地でスプーンづくりのイベントがブームなのです。イギリスではSpoonfest、アメリカではGreenwood Fest、スウェーデンではTäljfest、さらにオーストラリアでも今年からSpoon Jamというイベントが始まるそうです。
人々の暮らしと自然が離れつつある中、身近な森から木を伐り、暮らしの道具のシンボルであるスプーンを人の手で作ることで、今を見つめ直そうという思いが込められています。
私は去年、スウェーデンのTäljfest(テアリフェスト、Täljaは彫るの意味)に参加してきました。100人近い参加者たちが海外からも集まり、2泊3日でいろいろな講座に参加したり、ひたすらスプーン削りを楽しんだりしていました。
このイベントの実行委員長を務めたのがヨゲ・スンクヴィストさん。スウェーデンの伝統的な民衆工芸をベースに、鮮やかでポップな作品をつくる世界的に有名な木工家です。父のウィレさんも木工の教員を長く務め、「Swedish Carving Techniques」という本を出版した方です。このヨゲさんが初めて来日することになり、それならぜひ日本でもスプーンイベントを、と思ったのが始まりでした。
私はグリーンウッドワークを日本に紹介する時、海外のやり方をそのまま伝えるのではなく、日本の昔からの技術やデザインも紹介したいと思っています。日本には昔からご飯や汁をすくう木杓子があり、今は多くの木工家が美しく使いやすい木のスプーンを作っています。スウェーデンの文化を学び、日本の文化も紹介して、共通点に納得したり、違いに感心したり。そんなイベントにしたいと思い、岐阜県中津川市の金城貴史さん、長野県松本市の大久保公太郎さん、岐阜県高山市の奥井京介さん、の3人にも講師に加わっていただくことにしました。3人の共通点は、サンドペーパーを使わず、刃物で削って仕上げていることです。
そんな思いで始まったさじフェス、数回にわたりご報告しようと思います。
久津輪 雅(木工・准教授)