立木乾燥材を製材する
先日ブログで紹介した立木乾燥材の試験引きを行いました。
前回ブログ
今日はアカデミーの授業も兼ねて、クリエーター科林業専攻、エンジニア科林業コースの学生も一緒に立ち会いました。
実際に奈良県の梶本さんに教えてもらいながら学生それぞれ処理したので、自分たちの処理した立木がどんな形で製材されるのか興味深いところです。
今回の立木乾燥処理の流れを整理すると
◆ 5月中旬にチェンソーによる立木乾燥処理
◆ 8月上旬〜中旬に葉涸らし乾燥のため上方伐倒
◆ 9月下旬〜10月上旬 枝払いして、集材機による搬出
という流れです。
5月の立木乾燥処理を行わずに葉涸らしのみ行った立木も1本(6m)入れて、比較検証します。立木乾燥有 葉涸らし無というパターンも作りたかったのですが、台風で折れてしまい断念です。
こちら製材前の丸太です。木口は乾燥していて、色も谷筋のスギにしては黒い色が抜けて赤みを帯びています。
試験挽きをお願いしたのは白鳥林工協業組合さんで、基本はパネルを製作するための板を挽きます。今回も36mm(仕上げ寸法は30mm)の板をメインで挽いてもらい、6m材は真ん中で梁をとりました。下の写真が6m材の梁で、右から2本が立木乾燥+葉涸らし処理、左の1本が葉涸らし処理のみです。
左の葉涸らし処理のみの梁は、色味はいいものの白い辺材部分に水が抜けていない部分があり、白線帯と呼ばれる部分がくっきり判別できました。
右の立木乾燥+葉涸らし処理の梁は、辺材部分は乾燥しているものの、心材部分の水分が抜けていないような状況でした。
今回処理した立木乾燥材は、アカデミーで製材したものも含めて、とても水分も抜けていて色味もきれいなスギから、心材部分の水分が抜け切れていないスギ(辺材部分はどの個体も乾燥していました)まで、いろいろな個体がありました。上の写真の右2本の個体は、いずれも谷筋でもともと含水率が高かったのかもしれません。また上方伐倒の際に枝が重なって折れてしまい、最後まで水が抜けきれなかったのかもしれません。
どうすれば均等に水が抜けていくのか、非常に奥が深いですね!スギは品種も多様で、地域や土壌によっても水分の抜け方が変わるとのこと。
来年度も継続して検証して行きたいと思います。
また今回試験挽きした板と梁は、反り、割れ、曲り等含めて、継続的に経過を見るなかで、白鳥林工さんから評価して頂きたいと思います。
杉本