電動工具を使って、岐阜県時計を作りました。
木工を専攻する学生は、毎年この時期に時計作りの授業を受けます。授業名は「電動工具(成形・加工)」で、電動工具を駆使してさまざまな成形にチャレンジします。
使う道具は、トリマーとハンディルーター。トリマーは縁の面取りに利用したことはこれまでの授業でありましたが、成形用途では初めてです。またハンディルーターは初めて触れる電動工具です。これらの電動工具を使って曲線などの加工をして、最終的には壁掛け時計をつくるという授業。全部で15時間(2コマx4日)の授業なので結構タイトな内容です。
どんな冶具を作るのか?
この授業の目的は2つあります。
・電動工具を使いこなせるようにする
・冶具の考え方、作り方を知る
まずはトリマー、ルーターの基本的な使い方をレクチャーします。そして、成形のための冶具の作り方を考えるにあたって、いくつかの倣い加工のパターンを説明します。基本的には、ガイドとなるものを何で倣うのか、ということですが、定規とベースプレートだったり、加工材の木端とストレートガイドだったり、テープレートとテンプレートガイドだったり。
写真はハンディルーターにテンプレートガイドを装着した状態のものです。
一通りどういう仕組みか理解して、実際にテスト加工をしてもらい、作る冶具のイメージを持ってもらいます。
中にはトリマーで文字をほる人も。
デザインは学生のものを採用
さて、作る時計のデザインは、毎年、学生から募ります。この授業までは、教員側が課題として決まったものを与えていますが、この授業から自分で考えたものを自分で形にしていくことになります。
過去には、アカデミーマーク、美濃市の市章、岐阜の山と川、などさまざまなものをモチーフに時計を作ってきました。
そして今年は、投票の結果、そのまんま「岐阜県」です(笑)
全体は丸いトチの板に岐阜県の形を彫り込み、そこに同じく岐阜県の形にくりぬいた栗の板をはめ込みます。そして、相談の結果、文字入れは通常良くある数字ではなく、東西南北を意味するWESNを入れると面白いね!となりました。
デザイン発案者が中心となり、どんな冶具が必要か、どうやって加工するかを話し合い、設計図や木取り表、工程表をまとめてもらいました。みんなで冶具を仕組みを相談しています。
しっかり理解できていれば、難しくない
その後、それぞれ担当に分かれて、必要な冶具を作り、そして時計の制作をしていきます。
テンプレートづくりは精度よく。
作った冶具を用いて、ルーターを使って、トチの板に掘りこみをしていきます。
栗の板を切り抜く冶具は何度もテストを行い、
微調整を施していきます。
そして、冶具がそろったら、みんなでそれぞれの加工を進めます。
なんとか形になりました。
短い時間の中、放課後等もつかってみんな頑張ったと思います。
なんとか形になりました。少しはみでるようにしていたので、鉋で表面を平らにします。
そして、もちろん、裏面には、ムーブメントが納まるように加工もしています。
デザインをした学生もニンマリ。
ただ、時計として機能するところまで授業でやりましたが、今後、丸くする、文字を入れる、という作業も残っています。丸くする加工は近いうちにやろうと思いますが、文字入れは、デジタルファブリケーションの授業で、レーザーでの刻印を予定しています。
それにしても、実質2日の授業でここまでできたのは、すごいなぁ、と学生をほめてあげたいです。
木工教員:和田